第17章「やさしさの正体」

遥の告白


美咲の言葉に抱きしめられ、遥は震えながらも静かに語り始めた。


「私が壊そうとしたのは、優しさじゃなくて“偽りの優しさ”だった。

本当は、誰かに“本物の優しさ”を求めていたんだ……でも怖くて、素直になれなかった」



赦しと和解


玲奈も翔太も、自分の過去の痛みを抱えながら、互いに支え合う。

三人は、長い間閉ざしていた心の扉を少しずつ開けていく。


美咲は決意を込めて言う。


「やさしさは、傷を癒すもの。

でも、それは“完璧”じゃなくていい。

不完全でも、届けば、それがやさしさなんだ」



新たな一歩


数ヶ月後。

美咲は新しい日記を書き始めていた。

今度は、過去の傷を抱えながらも、前を向く“やさしさ”の物語を。


遥は精神科で治療を受けながら、少しずつ笑顔を取り戻す。

翔太もまた、彼女たちのそばに寄り添い続けている。



エピローグ


美咲の最後のページにはこう綴られていた。


『やさしさは、誰かを壊すものじゃなく、

壊れたものを繋ぎ直すもの。

それを信じて、私は生きる。』

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隣人の本性 稲佐オサム @INASAOSAMU

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