第6章「亀裂」

美咲の視点


翌朝、会社に着くと、職場の空気はさらに冷え切っていた。

ランチルームには、美咲宛の匿名メモが置かれていた。


「あなたはもう誰も信じられない」


美咲は手が震えた。


そんな時、隣の席の同期・中村翔太が声をかけてきた。


「大丈夫か? 最近、何か変だぞ」


翔太は誰にでも公平で、社内で信頼されている存在だ。

美咲は小さくうなずいた。


「ありがとう……でも、もうどうしたらいいかわからない」


翔太は真剣な表情で言った。


「俺が力になる。調べてみるから」


美咲の胸に、久しぶりに小さな光が灯った。



遥の視点


一方、遥は静かなカフェで一人、新聞の社会面を見つめていた。


記事には最近の社内トラブルや人間関係の崩壊について書かれている。


「美咲さん、いい標的だったわ」


彼女は冷ややかに微笑む。


「翔太くんが介入?面白くなってきた」


遥はスマホを取り出し、誰かにメッセージを送った。


「計画通り。次はあの男を動かすわ」



中村翔太の視点


翔太は職場の裏で情報収集を始めていた。

だが、すぐに何者かの監視を感じ、背筋が凍った。


「誰かに尾行されてる……?」


彼は急いで社内の防犯カメラの映像を確認したが、怪しい人物の姿は映っていなかった。


「こんなこと、誰が……」


翔太は何か大きな陰謀が動いていると直感した。



事件の新展開


その日の夕方、美咲の家のドアに赤いスプレーで落書きがされていた。


「裏切り者」


隣人からの脅迫か。美咲は震えながらも、翔太に連絡を取った。


「これ以上、耐えられない……助けて」

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