第5章「揺らぐ心」
その日、職場の休憩室で、美咲は一人コーヒーをすすっていた。
背後から、冷たい声が聞こえた。
「藤咲さん、最近態度が変わったね。何かあったの?」
振り返ると、そこには沙織が立っていた。
美咲は驚いたが、どこか警戒もしていた。
「……別に、何も」
美咲の声は震えていた。
「嘘よ。LINEも返してくれないし、私たち友達じゃなかったの?」
沙織の目には、怒りと悲しみが混じっている。
「ごめん……私、最近ちょっと色々あって」
言葉が詰まったその瞬間、スマホが震えた。
画面には「匿名」のメッセージが。
「美咲さんを信用するな。裏切り者だ。」
沙織の顔が一瞬、硬直する。
「こんなの誰が……」
「わからない。でも、誰かが私たちを操ってるみたい」
二人の間に重い沈黙が落ちた。
⸻
帰宅すると、美咲の部屋のポストに封筒が入っていた。
開くと、中には写真が数枚。
美咲と遥が並んでいる職場のパーティーの写真。
しかし、誰かが美咲の飲み物に何かを入れている瞬間のアップ写真もあった。
その裏には、こう書かれていた。
「これは偶然じゃない。気をつけて」
震える手で写真を見つめる美咲。
「あの女が……やっているの?」
⸻
一方、遥は薄暗い部屋で微笑んでいた。
「壊れ始めたわね。もう少しで、完全に孤立させられる」
彼女の声は冷たく、楽しげだった。
⸻
美咲は電話を握りしめた。
「誰か……助けて」
でも声は震え、誰にも届かない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます