デート②



「店長ー?いるー?」


開店前の店に入って彼方が呼ぶと

現れたのはなかなかいかちぃオジサン


「おー?…ってお前、姫を開店前に入れちゃだめだろーが」


タバコを咥えながら言う店長


『えっと、すみません…。プレゼントのタイミング間違っちゃって…』

「えっ、そんな謝んないでよ!俺は嬉しかったよ??」


(フォローが痛いです彼方さん…ぐすん)


「おーいイチャつくなー?笑」

「あ、ごめん店長」

そう笑う2人は結構仲が良さそうだ


「出勤まで置いといていい?」

「おー」

1人奥へ行ってしまったので待っていると


「なぁ姫さん、あんた名前は?」

突然話し出した店長


『芽咲、です』

「芽咲ちゃん昨日も来てたろ?あんま慣れてなさそうだし……ホスト狂いにならねぇようにな」


多分夜の店にハマりすぎて抜け出せなくなった

人達をたくさん見てきたのだろう。


(なんか……うん、大人だなぁ)

『ふふっ、心配ありがとうございます。……でも大丈夫です!』


笑いだした私にキョトンとしている店長


『あっ、それより……昨日と同じのお願いしますね♪エンジェルとかいうのと、あとタワー!めっちゃ楽しみに来ますから!』


「…………ふっ…かしこまりました姫。良ければVIP席にご案内致しましょうか?」


ニヤリと笑いながら言ってくれたので


『是非お願いしますっ♪』


そんな会話をしていると彼方が戻ってきた


店を出てデートへ戻り

これまた私が店を選び、今度はご飯。

ちょっと憧れてた回らないお寿司をたらふく食べ

色々なお酒を教えてもらって試したりと

楽しい時間を過ごした。


同伴は出勤時間自由と聞いていたが

プレゼントしたやつ着てるのが見たい!と

22:00にはお店に向かった


さっき見た店の外観が見違える程

華やかで彼方に尋ねると

今日は実はイベントなのだと言う


「でも!イベントでお金使ってほしいと思って呼んだわけじゃないからね!?」

と焦りだした彼方に

(いやいや、それ目当てで呼ぶもんでしょーが)

と心でツッコんでおいた笑


着替えに行った彼方と別れ

店長に案内されたのは約束通りVIP席


他の客は見えない様な作りの、コ形の席。


目の前でシャンパンタワーが作られていくのを

見ながら待っていると

「いらっしゃいませぇ♪」


と空がお酒を持って登場


「他のキャストにすっごい絡まれてたよ彼方w」

『??あ!あのスーツ??かっこ良かったでしょ?♪』


「羨ましい!!ってもみくちゃにされてたw」

『でしょ〜?絶対似合うと思ったんだよねぇ♪』


話しながらも丁度いい割合に作ってくれた

焼酎で空と乾杯


『今日忙しそうだね?あ、昨日言ってたっけ?』

「ははっ、うん。昨日言ったんだけど…」

『??』

「じ〜つ〜はぁ…店長が芽咲ちゃん優先にしていいって言ってくれたんだよねぇ♪…うれしい?」


店長の言葉の意味は考えても分からなかったが

うれしい?と耳元に寄り聞いてくる空に

酔ってもないのに顔が熱くなった


『なっ!もう!近い!!////』

「ふっあははっ!俺もうれしい♪」


熱を持った顔のままだが

くっそぅ…と空を睨むも飄々と躱された


「ちょっと空さーん?俺の姫なんですけどー?」


そう言って登場した彼方は

片方の髪を後ろへ撫で付け

全身私コーデで現れた


『え、めっちゃかっこいい彼方!!』

「ほんと?さすが俺の姫、センス抜群だね♪」


ホストモードの彼方に

デート中の緊張も解けた。



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