ママすき!!


『……多分神様が願い叶えてくれた系だと思います!!以上です!』

「はぁ、馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど……ここまでだったか」

『ちょ、ひどくない!?』


「神様に届いちゃう程の願いがモテモテになってアバズレになりたいだなんて……どっちがひどいのかしら?」

『…………ぁい』


「パパと離婚したのがいけなかったのかしら」

『!…離婚あざまーす』

「ママの育て方が悪いのかな?」

『いえ、育ててくれて感謝してますっ!』

「なんでこんな馬鹿に……ぐすっ」


『…………ごめんてぇ!!!』


罪悪感に襲われ、ひたすら謝ったが

何に謝ってるのか分かってないのが

顔に出てたのか…チョップ食らいました、まる


「それで?反動なしで使えるものなの?」

さっき使ってきたけど何も起こらなかったし…


『うん!!』

「……まぁもう20歳だものね。」

『!!ってことは……』


「ママは何も言わないわ。そのカードのせいで不幸になっても自業自得だからね?分かった?」

『っしゃ!!ママまじ大好き!愛してる!!』


「(死んでも知らないぞって言ったつもりだったんだけど……ほんと馬鹿娘)」

そう思いながらも、仕方ないなぁという目は

しっかり愛情も含んでいた。


そんな視線に気付かずわーいわーいと騒ぐ私


『あ、ママ!家買ったりしてめっちゃ幸せになってアイツ見返そうよ!!』

「はいはい」

『めっちゃ綺麗になってさ!?』

「はいはい」

『戻りたいとか言わせて思いっきり振ってやろ!?』

「分かった分かった」


自業自得の覚悟も出来たんなら

やりたい様にしなさいと言うママ


(まじうちのママ最高すぎるッ)


うちのパパはいい所の坊ちゃんだった。

小さい頃はそれなりにいい暮らしをしていた。


……が、4年前パパの不倫が発覚し

問い詰めたら逃げていった。

後日離婚届けが届いたり

調べてみたら相手との子供が私と同い年だったり


あの時のママの落ち込み様は

未だに思い出すと心が痛くなる程。


家も勝手に売りに出され

ママの給料では、この築ウン十年の

ボロアパートしか住めなかったのだ。


でも不幸だなんて思った事ない。


(なら働けよって話だよね笑)


『…ごめんね、ママ。ヒキニートになんかなっちゃって……こんな馬鹿で…』


「はぁ…………確かに心中してやろうかとか、なんでこんな馬鹿なんだろうとか思ったりした時もあったけど。…あんたが幸せそうに毎日笑ってたから…だからあんまり気にしなくなってたわ」


初めて聞いた私に対する本音に

涙が出そうになり必死に耐えながら

いつもの笑顔を見せる


『ママの子で幸せすぎたんだな!私って!!』


「はいはい、ママもあんたが底抜けの馬鹿で幸せよ。」


『えー!?そこは普通に幸せだけで良かったんですけどー!?』


ママと2人、笑いが尽きない夜だった。

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