第4話

「プリンありがとー!!…て、どーしたの?」



帰ると、ドアの音で飛び出てきた猫娘が、赤ん坊を見て目を丸くした。



「拾った」



「拾った、って……」



そうだ、その前に。



猫娘とは、同居はしてるが家族って訳じゃない。



この家には、俺、サクと、この猫娘ヤサキと、猫娘の子ども(♀)ナミと、外にそびえる大木の妖怪の爺、ハビスがいる。



ヤサキやナミも普段は人の姿だが、猫じゃらしを近づけると本性を現す。



ハビスは基本外におり、窓を開けると話しかけてくる。

結界のおかげか人にはただの木に見えるらしい。



俺たちは、周りから見れば至って普通の家に住んでいるが、ここは俺たち妖怪と政府の一部しか知らない。



妖怪が暴れるのを恐れた政府は、こうして家を割り当て、結界を張って安全にし、補助金を渡す代わりに、悪さをするなと言ってきた。



人の姿になれない者には、現物支給もある。



まあ、そんな訳でたまたま共に暮らすことになったわけだ。



「ヤサキ、とりあえずこいつに飯作ってくれよ」



「はあ?自分で作ればいいでしょ!?」



「赤ん坊の食う飯なんてわかんねーよ。お前ナミ育ててきたんだから知ってんだろ?」

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