第15話 血煙の誓い
夜の廃工場。
錆びた鉄骨の隙間から月光が差し込み、腐臭と共にゾンビの群れがうごめいていた。
斬牙は血に濡れた刀を握りしめ、背後に仲間たちを庇うように立っている。
敵はただのゾンビではなかった。
――人間の理性を部分的に残した「狂鬼」。
群れを統率し、異様なスピードで迫ってくる。
「……来るぞ」
低くつぶやく斬牙。
次の瞬間、狂鬼のリーダーが雄叫びを上げ、鉄骨を砕きながら飛びかかってきた。
斬牙の前世の記憶――サムライとしての戦場が一瞬よみがえる。
仲間を守り、己を削ってでも勝利を掴む、それが武士の本懐。
「抜刀――!」
風を切る音とともに、狂鬼の首が宙を舞った。
だが倒れたリーダーの血が地面に触れた瞬間、他のゾンビたちが暴走を始める。
赤い瞳が一斉に輝き、狂気が広がっていく。
「まだ終わってない……!」
仲間の叫びを背に、斬牙は刀を握り直す。
腕は痺れ、息は荒い。
だがその瞳には、かつての武士としての誓いが宿っていた。
――人を護るため、俺は何度でも斬る。
血煙の中、斬牙は再び突き進む。
その一太刀が、新たな戦いの幕を切り開くことを誰も知らなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます