第12話 血潮の誓い
夜の街を、腐臭が覆っていた。
学校の仲間を守り切ったはずなのに、新たに現れたゾンビの群れは、まるで獲物を追う獣のように、斬牙とクロガネの前に押し寄せてくる。
「……終わりがねぇな」
刀を構えながら、斬牙は冷や汗を流す。
その姿を見たクロガネが低く唸り、背を並べるように立った。
かつて前世で命を捧げた戦場の記憶が、斬牙の中で疼く。
血で濡れた刀、仲間の叫び、そして守り切れなかった者たちの顔。
――二度と同じ過ちを繰り返さぬ。
ゾンビの爪が斬牙に迫る。
一閃。
返り血を浴びながらも、その眼は曇らない。
「クロガネ、行くぞ!」
大型犬は力強く吠え、鋭い牙で敵の首筋を噛み砕く。
人と獣――その息は完全に合っていた。
だが、群れの奥から現れたのは異形の巨躯。
他のゾンビとは明らかに違う、膨れ上がった筋肉と、無数の骨の棘をまとった「進化体」だった。
その咆哮が夜空を震わせ、窓ガラスが割れる。
「……来やがったな。ボスか」
斬牙は唇を噛み、クロガネに視線を送る。
恐怖よりも先に、闘志が燃え上がる。
刀を強く握りしめ、斬牙は低く呟いた。
「この街は……俺が守る」
血と炎が渦巻く中、少年と犬は進化体へと突撃していった。
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