第2話 月見うどんしか食べることのできない衰退国の話
「こんなもの食えるかあ!」
その禿げた老人は介護士に向けて怒鳴り声をあげた
「これが食べれるだけで幸せと思ってください」若い介護士はその老人をたしなめる
「そばじゃあああ!そばを食わせろ!」老人は叫ぶ
「そば?そばってなんですか」若い介護士は怪訝な顔をする!
「そばを知らんのか!儂が若い頃は立ち食いそばと言うものがあったのじゃ」と老人
「あ~そうですか?そんなものは今の日本にありませんよ」
「ちくしょう!そばが食いたい!ゲソ天が食いたい!なんとかしろ」
「げ、そてんですか?何ですか、それ?」
「イカの足じゃあああ!それ揚げたものじゃああ」
「ああ、イカですか。それって高級すし店でも滅多に手に入らない食材ですよ」
「ちくしょう!ちくしょう!中国め!中国め!」
「どうでもいいから早くたべてください。この月見うどんを!」
「昨日も月見うどんじゃった。その前の日も!」
「そうですよ。この国では月見しか食べれないってもう30年前からそうなってますよ」
新日本昔ばなし 干しそばくんと言われた男 @uhyo_ojisan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。新日本昔ばなしの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます