45話 神を信じた少女たち



ユリの心に潜むエンド・フラワーの力が、激しく揺れ動く。

その力は「呪い」でありながら、「希望」でもある。

それは絶望の深淵から世界を救う唯一の鍵だった。


「もう、逃げられない」


ユリは手を伸ばし、胸の内でうごめく黒百合の紋章に触れる。

燃え盛る炎のように、黒い花びらが一斉に開き始めた。


同時に教祖たちの姿が重なる。


スイレンの焦り。ローズの憎しみ。シャクヤクの怒り。

それぞれの感情が融合し、巨大な悪魔を形作る。


だが、ユリは彼女たちに手を差し伸べる。


「あなたたちはもう、ひとりじゃない」


「私たちが変われば、この世界も変わる」


エンド・フラワーの闇は、ユリの浄化の光に包まれ、徐々に形を変えていった。


絶望に染まった魂たちが、初めて安らぎを知る。


教祖たちは涙を流しながら、心から謝罪した。


「ありがとう、ユリ」


その言葉に世界の呪いが溶けてゆく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る