13話 純白の嘘、真紅の鍵

昼下がりの校庭。

ユリはマリーと並んで校舎の影に身を潜めていた。


「ねえ、ユリ」

マリーの声は震えていた。


「私は…家族を強盗に奪われて、ずっと悲しみに囚われてる。

その悲しみが、私の力になったの。

でも、時々その力が怖くなる。

悲しみを増幅してしまうから」


ユリは静かにうなずいた。

彼女自身も胸の奥に封じ込めた呪いを感じていた。


「私も、普通の生活なんてもう戻れない気がする」


「でもね…」

マリーは小さな笑みを浮かべた。


「あなたがいるなら、私たちも変われるかもしれない」


その言葉に、ユリの胸の奥がじんわりと温かくなった。


同じように傷ついた少女たちが、やがて交錯し、物語の歯車が静かに動き出す予感がした。

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