13話 純白の嘘、真紅の鍵
昼下がりの校庭。
ユリはマリーと並んで校舎の影に身を潜めていた。
「ねえ、ユリ」
マリーの声は震えていた。
「私は…家族を強盗に奪われて、ずっと悲しみに囚われてる。
その悲しみが、私の力になったの。
でも、時々その力が怖くなる。
悲しみを増幅してしまうから」
ユリは静かにうなずいた。
彼女自身も胸の奥に封じ込めた呪いを感じていた。
「私も、普通の生活なんてもう戻れない気がする」
「でもね…」
マリーは小さな笑みを浮かべた。
「あなたがいるなら、私たちも変われるかもしれない」
その言葉に、ユリの胸の奥がじんわりと温かくなった。
同じように傷ついた少女たちが、やがて交錯し、物語の歯車が静かに動き出す予感がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます