破裂間際のものたち

石田 犀

破裂間際のものたち

色つきの様子のおかしい照明がこの世の春の精彩を欠く


客席でまばたきをする電球をすべてを賭けてあなたが割るの


サーカスは破裂間際のものを愛しふくらはぎ暗いままでぐらぐら


歯のような心、心のような歯を 抜けそう 見せてくれてよかった?


あなたが挫折に詳しいことがなおのこと季節を美しくしてしまう


硝子なら熱してのばしたりできるのに憧れは石鹸だから


節操なくあなたを漏れ出るのは時間 踊れるかって言われなくとも


少年の歌声に混ざるばちばちの砂鉄よ変わるところを見せて


愛だけが芸を殺すかも植栽の烈しい四肢が伸びてく先で


狂わずに天才になる方法があるにはある 春の歩道橋


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

破裂間際のものたち 石田 犀 @sai_ishida

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画