戴冠

宇佐ふゆき

戴冠

炎天を戴けばほら活火山 血潮を支配するのは私



肋骨のなかにひしめくベレッタが悲鳴をあげてそれからは花



プルメリアをほどいていって柔らかな金糸を紡ぐ 飛び立って行け



本当の罪のかたちも知らないでもっともっとと開く花びら



はつらつと乱れきった花園のなかでしずかな廃村を焼く



ここは果て 愛の対価を払わないものはいずれ滅びてしまう



躁病のカラスアゲハが撒き散らす火の粉を握りつぶして盛夏



火傷したときの確かな冷たさで欠ける指先 死に触れている



熱風を翅を空を抱き込んで冠のごと燃えろ向日葵



火葬場で目覚めたばかりの種 おいで おまえを愛から守ってあげる

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戴冠 宇佐ふゆき @usadahaika

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