第20話
アイツの噂
上司との面談より数日後、弁護士が見つかったから紹介したい。30分程時間がほしいが、私的な事情なので、仕事とは満たせない。以前の残業時間分で調整し時間通り退勤するか、紹介後に30分業務を行うか提示された。
帰宅時間を遅らせる訳にもいかないので、時間通り退勤することを選んだ。
紹介された弁護士の先生は、見た目が若めだが落ち着いておりしっかりした口調の男性だった。
上司が退席しようしたが、弁護士をつけるならば有事の際に職場に迷惑がかかるので、お手隙のなら同席を依頼した。
先生へ相談の結果、弁護をお願いする事となった。詳しい話は後日事務所でする事とし、今後先方が本人同意なし接触してくる場合の対処を上司と相談し解散となった。
帰宅中、自宅近所で井戸端会議中のご近所さん達がいた。「こんにちは」と軽く挨拶してすれ違おうとすると呼び止められた。
何でも、この間夫が大荷物を持ちながら若い女性の腰に手を添えて車に乗って行ったのを見た人がいる。以降車がない。夫も見ない。若い女と出て行ったのか噂になっていると。
そう話すおばさまは、所謂“スピーカーおばさん”と呼ばれている。噂好きで、なんでも『内緒よ』『貴方だけに言うけど』『誰にも言わないでね』と誰彼構わずにある事ない事言いふらし話のネタにする要注意人物。
そんな危険人物にアイツを見られてたなんて運が悪い。
子ども達の事もあるので濁して答えた。
彼女は、夫の親類。彼女とは、元々仲良しだった。我が家に遊びに来たが体調が優れていなかった。仕事もあり外泊予定だった夫が彼女を送り、そのまま仕事へ向かった。まだ仕事が落ち着いていないので帰宅していない。と説明。
しつこく「浮気で出て行ったんじゃないのー?」と軽口を叩かれる。内心反抗するも、「今回の仕事は、長期間の対応が必要みたいで。落ち着いたら帰って来ますよ。定期的に会えますし。子どもが帰宅するので失礼しますね。」と女優のつもりで笑みを浮かべその場をした。
おばさま達は、納得のいかなそうな顔で私を見送り、また別の話題で盛り上がり始めた。
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