老害対策基本法

Aの人

 

先日、ある大学の毎年開催されている公開講座に行った。そこでは主に中高生を対象とした、大学の基礎的な物理実験が体験できるというイベントだ。


私は毎年このイベントに参加しているが、例年は参加者のほとんどが高校生を占めるのに対し、今年(2025年)は社会人や老人が多くいた。


講座開始直後、前の方に座る老人が講師の先生たちの自己紹介を遮り、実験を担当する順に自己紹介しろと、横柄な態度で怒鳴った。講師の先生方は卒なく対応したが、それは大人としてどうなのかと思った。


私の班は、私と70歳くらいの老人(先ほどと別人)と30歳くらいの社会人男性の3人のメンバーだった。先ほどのこともあり、少々不安ながら実験を始めた。


実験内容は透明な物質の屈折率を求めるというもので、一つの試料に対し、一人二回ずつ測定した。


測定していると、なぜか私の測定結果はキリのいい数字になりやすかったので、念の為講師の先生にその都度不備がないか確認してもらったが、問題なしとのことだった。


実験後、結果をシェアすると、老人が「こんなきれいな値になるのはおかしい。」といちゃもんを付けてきた。どうやらこの老人の思っていたデータと違うらしく、気に入らないらしい。先ほども述べた通り、結果はその都度不備がないか講師の先生に確認してもらっていた。よってこの老人の主張はただの言いがかりだ。というかそもそも「きりのいい値=実験に不備がある」と言う思考自体、いかがなものかと思う。


その後この老人は、もう一人の社会人男性にも「自分の値と違う」と言いがかりをつけ、講師の先生に「この程度は誤差の範囲内だ。」と言われ宥められていた。


明石さんまさんのように老後も社会や若者にいい影響を与える人が一方、こういう老人を見るととても残念な気持ちになる。彼は半世紀以上を生きて、人にかけられる言葉がこれなのかと思うととても悲しい。


私は将来、こういう残念な大人にならないよう、周囲に気を配り、気持ちも良くなる言葉がかけられる大人になりたい。

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老害対策基本法 Aの人 @kagakuya

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