第4話犬とビール

つい最近亡くなった我が家の犬の話を一つ。


 


 私の家では、トイ・プードルという犬種の、血統書付きの犬を飼っていた。外見が、縫いぐるみみたいでとても可愛いから、家族皆から愛されていた。名前は、チョビ。愛称チョビ太郎。特に、父はそいつにデレデレで、本犬には与えてはいけないものまであげてしまうから、困っていた。


 問い詰めると、

「だって、欲しいって、言うんだもん。」

親バカならぬ、犬バカである。


 ある時、仕事から帰宅すると、いつも出迎えてくれるはずのアイツが来ない…。


 おかしいな、と、ゲージの中を覗き込むと、眠っている。


 指で身体をつついてみるが、起きない。身体を揺さぶって起こそうとするも、反応無し…。

ひたすら、眠っている……。



 ………はて、傍らに、いつも餌を入れる白い皿が置いてある。皿の中には泡の出ている黄色い液体が盛られてある。



 父親が、酔っ払って、犬にビールを与えたんだと。





        『犬とビール』(おしまい)

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