第19話 最後の夏

沢山の思い出が残った文化祭から8ヶ月後。

蒼馬は3年生、愛華は2年生となった。

もちろん2人の関係はラブラブなまま続いている。


――


夏の暑さがまだ残るある日の夕方。

校庭の体育館からは、バスケットボールのリズムよいボールの音と、掛け声が響いていた。


「ナイスパス!もっと声出して!」

「まだまだ、最後まで諦めんな!」


バスケ部のキャプテンとして、3年生の進堂蒼馬は今日もチームを引っ張っていた。汗でぐっしょり濡れたシャツが彼の真剣な姿をより際立たせる。

「俺たちの最後の夏だ。絶対勝つ。」

その言葉に、仲間たちも声を合わせて気合を入れた。


蒼馬の心には、もう一つ大切なことがあった。

いつも支えてくれた月瀬愛華の笑顔。

部活の練習が終わると、彼は必ず図書室か校庭のベンチで彼女を待った。


その日も練習後の汗をぬぐいながら、愛華の元へ向かう。

「今日も頑張ってたな、蒼馬先輩」

「おう、愛華。お前のおかげで頑張れるんだよ」

「うれしい。ありがとう」

愛華は笑顔で話した。


2人は並んで歩きながら、穏やかな夏の夕暮れを感じていた。

「試合の日、絶対応援に来てくれよ」

愛華はにっこり笑って頷く。

「もちろん。先輩の全力、見届けるから」


蒼馬の胸に、少しの不安と強い決意が交錯する。

「最後の夏、絶対後悔したくない。愛華と一緒に笑いたいから」

「うん!」


夕日に染まる校舎の影の中で、2人は未来を誓い合うように手を繋いだ。

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