エピローグ 記憶に残るもの

 連盟の記録は、ワトソンの手によって書き留められた。


 公には発表されることのない、“世界の裏側”に触れた記録である。

 それでも彼は、誰かが読むかもしれない未来のために、静かに綴っていた。


 ドラキュラという名を捨てた男、

 神に見捨てられたアダム、

 亡き王の記憶を抱いたミイラ、

 月の呪いと共に生きる獣、

 海の底から招かれし者、

 そして――姿を持たぬ自由人。


 ホームズは、窓の外に目を向けた。


 「怪物とは、姿ではない」

 彼は呟くように言った。

 「心が人でなければ、人の形など意味はないさ――」


 朝の光がカーテン越しに差し込む。


 ロンドンの街は、霧に包まれていた。

 けれどその朝、どこか――希望の匂いがしていた。

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シャーロック・ホームズの怪異録 VII:モンスター連盟 S.HAYA @spawnhaya

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