第4話:超神威

デスゲームに参加するために結成されたチームをデスゲームクラン(通称:クラン)と言う。


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 北大陸最強のクラン、超神威スーパーカムイ

 デスゲーム合法化のすぐ後、1級異能力者の冬海 氷河を筆頭に結成された最古参クランの1つ。10人以上の2級異能力者を擁するほか、3級以下のメンバーも大会で常に上位に入るなど北大陸で圧倒的な存在感を持つ強豪クランである。




 そんな超神威が所有する闘技場で、1人の男と1体の大きなアイスゴーレムが睨み合っていた。アイスゴーレムは高さ5メートル以上の巨体であり、常人なら簡単に潰せそうな威圧感を放っている。


「来い」


 男がそう言った瞬間、アイスゴーレムはものすごい勢いで男に迫る。しかし、男の位置に辿り着く直前に不自然に動きを止めた。アイスゴーレムは手足を前に出そうとするが、見えない謎の力に完全に押さえ込まれている。


「何っ」


 闘技場の観客席からアイスゴーレムを操っている少年、4級異能力者の冬海ふゆみ 凍次とうじは驚きの声を上げる。


「くそっ、動けっ」


「あっはっ! 雑っ魚い! パワーが、パワーが雑魚い!」

「根藤くん、あんま言わないであげてよ。中1でこれだけ出来るなら充分すごいって。そもそも生成使役は昨日始めたばっかりなんだからさ」


 凍次の後ろの席には超神威のメンバーである根藤ねとう 滝生たきおと、副長の白金しろがね あおが座っている。


「びくともしない。これが2級異能力者の力か」

「いや、多分3割くらいしか本気出してないと思うよ」

「まじ?」

「相手誰だと思ってんだよ。『前衛殺し』の中島だぞ」


 アイスゴーレムの動きを止めている男は2級異能力者の中島なかじま 塔也とうや。1級への昇格も期待されている、超神威の主力メンバーである。


「俺もまだまだだな」

「謙虚で良いね、頑張ってね。凍次くんには今年の5対5の大会に出てもらう予定だから」

「俺で役に立てるかな。うちのクラン、去年世界4位だったと思うんだけど」


 白金は軽く笑うと答える。


「きみは自分のこと強いと思ってないかもしれないけど、既に接近戦だけなら3級相手でも難なく倒せるレベルだからね。実力も伸びしろもかなり期待してるよ」

「へぇ〜白金がそこまで言うなら良いかもな。でも接近戦担当増やしたら前衛3枚になっちまうけど、どうするんだ?」

「氷河には今年は守備をやってもらおうと思ってる。あいつどのポジションでも出来るからね」

「あーそういうことね」


 白金はアイスゴーレムの方を見る。


「今のうちの攻撃陣に凍次くんのスピードと貫通力が加われば、海元かいげん高校やKNJの守備もきっと突破できる。問題はやっぱりUNDEAD CHAMPSだね」

「やっぱそうなるよなぁ〜、どうするよ」

「もちろん考えてはおくけど、彼らを倒すには何か起爆剤になる要素が欲しいところだね」

「起爆剤ねぇ。うーん……」


 根藤は少し考えるが、特に何も思いつかない。


「凍次くんだっけ。一応、後衛としてアドバイスしといてやるよ。使役ならまずは小さいサイズとか、一瞬だけ動かすトラップみたいなのから試すと良いぞ。密度高めを意識してな」

「ありがとう根藤さん、参考になるよ」


 凍次はアイスゴーレムを前進させるのを止め、少し後ろに下がらせた。


「確かにどうもラグいというか、大きくしたせいか挙動が微妙に調整効かなくて怖いんだよな」

「衝撃加えてみたら直ったりして」

「ジャンプとか出来んの?」

「ああ、やってみるか」


 アイスゴーレムは真上に数メートルほどジャンプするが、空中で2回転した後に背中から地面に衝突した。


『ドーーン!』


「あぁ〜怖いっ」

「いや怖いわ!見てるこっちが怖いわ!」


『ピコン』


 通知が鳴り、凍次はスマホを確認する。


「お、来週末の地域混合デスゲーム、参加申請通ったな」

「へぇ〜4級でもそんなのあるんだね、面白そう」

「しかも1キルごとに3万円貰えるって」

「すげぇ、大盤振る舞いじゃねぇか」

「そう。だから絶対参加したかったんだよ」


『ガンッ! ドンッ!』


「喜びの舞」

「闘技場壊すなよ〜」

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