魔法少女爆誕??⑥

『体が急激な成長に追いついていないのね! 気にしない』

 取って付けた様なプリンセサ・サフィーロの慰めに


「“竹刀しないではなく竹”だってくらいにはにするわ!」と吐き気で涙目になりながら“魔法少女”コウは独りごちる。


「武器ってないの??」


『あなたの持ってる竹刀はライトサーベルになるわ! そうね!欲しいものがあったら頭に思い浮かべてみて!』


「だったらショットガンのフランキ・スパス15を!!」


『??!!……あなたの頭の中って私には想像できないわ!! もっと“らしい”物や技があるでしょ! “のハピネスハリケーン”みたいな……』


「プリンセサの頭の中の方が分かんねえよ! 飛び道具系の物は何か無いの??」


「プリンセサ・アローならあるわよ!」


「私、弓道は苦手なんだ!!」


『意外と片手落ちなのね』


「うるさい!!」


『ダメよ、怒っちゃ!この仕事はチームワークが大切なんだから!』


「ったくこのプリンセサは!!」

 コウは頭を巡らせる……そうだ! ダーツなら私得意だ!


 頭の中でイメージを固定する


『これは何??』


「くノ一の?? まあ、そんな物よ!」


 次の瞬間、まるでサファイアそのものを形に成した様なキラキラ光るダーツが“魔法少女”コウの手に有った。


 “魔法少女”コウはユラユラ動くに向かって次々とダーツを投げたが今一つ命中には至らず、八衢の攻撃を封じる事ができない。


『もう少し練習なさった方がよろしいわね』


「うるさい!!さっきからこの胸が邪魔なんだ!!」


“魔法少女”コウはやりにくそうにライトサーベルを操り、八衢と闘いながら反論する。


「オホホホ! 私は長くなった手足にまだ順応できないからだと思ったのだけど、あなたは“女らしくない”ご自身をディスるがお上手なのね」


 プリセンサの容赦ないツッコミに“魔法少女”コウはますますヒートアップして八衢のあちこちに刀傷を負わせるが、頭が七つもある(ひとつは潰したから)上に全身がとてつもなく長い相手に攻めあぐねていた。


『そろそろ私の出番の様ね!』


「なんだ!そういう技があるならもったいつけないでよ!!」


「そうじゃないわ! あなたが果敢に闘ってくれたから、私は“希望の力”を取り戻せたの! さあ!両手を組んで私達を御守り下さる神様にお祈りして!!

 今こそ、邪気を払うべく出でよ! デスピアルタレディノール!!!」


 掛け声とともに“魔法少女”コウの全身から無数のレテノールモルフォが飛び立ち八衢を覆い尽くす光の束となった。

 光の束は天を割り、輝くサファイアブルーに空をも染め抜いた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る