魔法少女爆誕??⑤

“大蛇”は割かれた胴体の根元辺りでとぐろを巻き、そこから先が多頭に変化して各々が独立してコウ達に牙を剝いた。


 コウは手に持った竹刀で辛うじて攻撃を払い除けていたが、の方も単なる波状攻撃では無く、『巻き付き専門の頭』、『噛み付き専門の頭』と役割分担をやり始めた。


「プリンセサ・サフィーロ!! さっきみたいにコイツらをやっつけてよ!!」


『ダメよ! 魔法少女を見つけられなかった私は、心も羽もブレイク中なの!! 力が出ないわ!!』


「そんなの初めから間違ってるよ! 涼眞は男なんだから!!」


「エ“ッ!!」


「だってだってだって!! 確かに天啓があったのよ!! “汝の前に現れし眉目秀麗”な少女こそ魔法少女たるべき者”って!! どこに居るの???!!!! 魔法少女!!!!」


 嘆き悲しむプリンセサ・サフィーロを、コウは竹刀を振るいながらジト目で見る。


「あのさ、ワタシの事、オトコだと思ってる?」


『そりゃそうでしょ!……えっ??!!』


 コウとプリンセサ・サフィーロを包む“背景”が別の色のドヨン!になる。


「大蛇の頭をカチ割ってにしちゃうし、私の事は男と間違えるし……プリンセサ・サフィーロってお方はホント“”だね!!」


『あらあらそんな事、ないのよ~!』


「『少年!少年!』って連呼してたじゃん! 悪かったわね!“眉目秀麗”じゃなくて!!」


『えへへへ!“魔法少女の資質を持つ、ってあなただったのね!! テヘペロ! ではさっそく魔法少女になろう!!』


「ちょっと待って!! 何よそのノリ!! 私はイヤだからね!!」

 とプリンセサ・サフィーロへ怒鳴ったその一瞬の隙に八衢の1頭がコウの手の竹刀を絡め取り別の1頭が大きく口を開け突っ込んで来る!!


「あっ!!!」


 しかし八衢の頭はコウでは無く、涼眞の防具バッグを突き破ってめり込んだ。


「この野郎!!」


 コウは足元の岩を両手で持ち上げ、防具バックにめり込んだ頭をしこたま打ち据えた。


 頭は動かなくなり、コウの気迫に他の“頭”達もたじろいだ。


 でも、とっさに防具バックを挿し入れた涼眞は力尽きて倒れている。


「涼眞!!」と叫ぶコウに


『アナタ!ここで魔法少女ならなきゃ!女が廃るすたるよ!!』とプリンセサ・サフィーロが嗾けるけしかける


「こいつらを殺っちまえるんなら、魔法少女でも何でもやってやる!!」

 息巻くコウの胸にプリンセサ・サフィーロは留まり、その羽を広げた。


『さあ!言って!!マリポーサって!』


 頷くコウは大きく息を吸った



「『マリポーサ!!』」


 二人同時に唱えるとプリンセサ・サフィーロの放つ光はコウの全身を覆った。


 まず髪がサファイア色に波打ちながら肩を通り過ぎ背中へと流れて行き、それにつれ手足もすくすくと伸びて行く。


 丁度、固く巻かれた朝顔の蕾が大きく花開くように、サファイア色の美しい羽と腰まで伸びたウェイビーヘアーで白地にピンクの縁取りの清楚だけど超ミニの衣装を着た『魔法少女』が現れた!!


 しかし、見開いた眼は同じコランダム由来のルビーの様に怒りで真っ赤に燃えている。


 頭の中でプリンセサ・サフィーロの声が響く。


『さあ!蹴散らしてしまいましょう!!』


 頷いた“魔法少女”コウはガバッ!と息を吸った。


 と、自らが放つ強烈な甘い匂いに!!


「ゲロゲロゲロ××××!!!」


 そのBADな光景に八衢どもは完全に……


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