この想いを、永遠に──約束のプロポーズ

父と兄が部屋を出ると、2人だけになる。


「......ルイーズ、そろそろケンカは終わりにしないか?」

「レウルスが謝ってくれたら考えるわ」


すぐに素直になれなくて、そんな言い方をした。


「ごめん。ルイーズは美しいし、優しい。だから、過去に恋人がいたとしてもおかしくはない。それなのに、オレは君を自分だけの存在にしたくて、ああ言ってしまった」


レウルスは素直に謝ってくれた。しかも“美しく優しい”と言われて嬉しくなる。


(我ながら単純だけど、とっても嬉しい)


ガンコなレウルスが折れてくれたのが嬉しかった。思わず顔がニヤけて横に向く。


「まだ、怒っているのか? どうしたら許してくれる?」


レウルスが近づいて来る。


「怒っているのではないわ。あなたが、私を褒めたから照れくさくなっただけよ」

「.......嬉しいなら、オレを許してくれるんだな?」

「ええ。私もごめんなさい。でも、もうああいう意地っ張りな言い方はしないで」

「分かった」


お互いの中にあったわだかまりが解けると、清々しい気分になる。


レウルスと向き合うと、彼の瞳には自分が映っていた。


「どうしたの、そんなに私を見つめて」

「仲直りができたら伝えたいと思っていたことがある」


レウルスはもの凄くマジメな顔をすると、床にひざまずきルイーズの手をとった。


(え、もしかしてこれって........)


「どうか、オレと結婚してもらえないか?」


ついに、この言葉を言われたのだと思うと、ドキリとした。


「ずっと言いたかった。オレにとって、ルイーズがいない人生はもう考えられない。ルイーズはオレの全てだ」

「私があなたの全て?」

「あ……重かったかもしれないな。だが、もうオレにとっては欠かせない、いなくてはならなくて、オレの活力源であって……」

「分かったわ。もう黙って」


ルイーズはたまらなくなってレウルスの唇に自分の唇を重ねた。


「せっかくの感動のプロポーズもカッコつかなくなっちゃうでしょ?」

「そうだな……スマートじゃなくてすまない」

「私もレウルスと人生を歩みたいわ。あなたとなら、なんでも乗り越えられる気がするの」


レウルスの手がルイーズの顔に伸びてくる。


「答えはイエスということでいいんだよな?」

「ええ」


レウルスがホッとした表情を見せた。心なしか泣きそうな顔をしている。


「まさか泣いてる?」

「……今この瞬間を迎えるまでいったい、どれくらいの時間がかかったと?オレは、ルイーズといるためにずっと模索していたんだぞ」


やっぱり、半泣きの声だった。つられて泣きそうになる。


「そうね。ありがとう。私のために」

「もう、誰にも渡さない。オレだけのルイーズでいてほしい」


レウルスに情熱的な言葉を言われて、彼を抱きしめた。


「あなたが、またおかしな.........よく分からないことを言わなければ、ずっと、ずっと一緒にいるわ」

「言わないよ。約束する」


(本当に夢みたい……)


「幸せ」

「オレもだ」


しばらくお互いの存在を確認するように、抱きしめ合った。


「......まだ受爵の正式な話が出るまでは、結婚することも公にはできないわね」

「ああ。だが、それまで心変わりなどしないでくれ」

「どうしてそんなことを言うの?私を信じていないの?」

「アードルフと恋人になったことが......」

「もう!また話を掘り返すつもり?」


話がまた戻りそうだと、キッとして言う。


「これからのことを話すべきでしょう?」

「ああ。ちょっと冗談で言ったつもりだった」

「センスなさすぎだわ」

「悪い」


思わずため息をつくと、レウルスがキスをしてきた。


「ごめん。機嫌を直してくれ」

「次は、ちゃんと私の気持ちを考えてから口に出して」

「……分かった」


今日は、やたらとレウルスが素直だから、普段思っていることをここぞと言った。


「いざ、一緒になれると思うと、急に怖くなるものだな。夢なのではないかと」

「そうね。でも、これは現実。そして、私たちは新しい世の中の象徴にもなるのだわ」

「なんといえばいいか.......胸がいっぱいになるとは、こういうことを言うのだろうな」

「そうね、だけどもう少ししたら現実的にいろいろと動いていかねばならなくなるわね。レウルスのご両親にも挨拶に行かなくはならないし。ほかにも、今からやることはたくさんあるでしょう」

「しっかりしているな......」


いざ、という時は女性の方が現実的に動けるのではないかしら、と思ったルイーズであった。

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