演奏旅行仲間とメッツォで再会!

クリスティアンとマティアスがメッツォに遊びにやって来た。


演奏旅行以来、彼らとは定期的に手紙のやり取りをしている。


最近の彼らはトリアより東に進出しようとしていて、せっかくならばメッツォに来てはどうだと誘っていたのだ。


ルイーズがいるならと、彼らはメッツォに喜んでやって来た。


「わあ、また会えて嬉しいよ!」


駅に迎えに行くと、クリスティアンのテンションの高い言葉と共に抱きしめられた。マティアスともハグをしていると、話を聞いてついて来たレウルスが渋い顔でこちらを見ている。


「レウルスも会えて嬉しいよ!久しぶりだな!」


クリスティアンはレウルスもガバリと抱きしめた。レウルスもぎこちなくハグをする。どうもレウルスはクリスティアンの独特なところが苦手らしい。


マティアスとも同じようにハグして挨拶が済むと、やっと落ち着いた。


「メッツォはなんというか厳めしい感じの所だね」


クリスティアンがキョロキョロしながら言う。


「トリアやディートマルとは雰囲気が違うかもしれないわね」

「うん、だいぶ違うよ」


彼らも自分の屋敷に滞在させるつもりで、すでに父と兄には話していた。元々、父は気に入った音楽家を招くことも多かったから反対はされなかった。


「お父様たちもあなたたちと会うのを楽しみにしていたのよ」

「ルイーズの父上は君たちの企画や売り出しもしているのだろう?僕たちもぜひお会いしたいね」


クリスティアンの言葉にマティアスもうなずいている。


「マティアスのクラシックギターはきっとメッツォでもとても気に入られると思うの。メッツォは哀愁ある音がとても好きだから」


そんなことを話しながら屋敷へと向かった。


屋敷に着くと、屋敷に残ってピアノ練習に励んでいたクレメンテに、クリスティアンたちを紹介した。


「よろしく。ディートマルからやってきたクリスティアンだ。僕もピアニストだよ」

「初めまして。あなたはウイナ音楽院出身だと聞いています。オレはロンドーニ音楽院出身です」

「なんだって!?ロンドーニならディートマルの音楽院じゃないか!なら、君はあの偉大なピアニストであるバロワンのファンということか!?」

「そうです。彼に憧れてロンドーニに入りました」


クリスティアンはクレメンテがバロワンのファンだと知ってテンションが上がっていた。ちょっとマティアスが寂しそうである。


「ちなみに、マティアスもロンドーニ音楽院出身だよ。君の後輩にあたるんじゃないかな。ほら、マティアスもおいで」


クリスティアンに呼ばれてマティアスも嬉しそうに話に加わった。


「……彼らは仲良くやってくれそうね」

「そうだな。世話の必要も無さそうだし、久しぶりに街に行かないか?」

「時間はあるの?」


最近のレウルスはフルンゼでの活動に忙しい。留守にしがちだ。


「今日の練習は休みだよ。たまには息抜きも必要だ」

「なら、行きましょう。私もずっと練習室にこもっていたから気分転換をしたかったの」


そういうわけで、街デートに久しぶりに出かけた。


街は早くも夏らしい陽気になってきている。


「......どんどん音楽家がメッツォに集まって来てるな」

「そうね。メッツォにとっていいことだわ。……あ、あのお店に入ってみたい」


新しくできたカフェだった。ホワイトを基調としたお店で、可愛らしいピンクの花がたくさん飾られている。


「とても男1人では入れない店だな」

「ふふ、そうかもね。ケーキが美味しそうなお店だわ」


店に入ると、店内には女性がたくさんいた。


窓際の席に案内されると、オススメのケーキを頼んだ。


「ねえ、そういえば、レウルスはある時からグッとやせたわ。どうしてなの?」

「音楽家として成功するために見た目も洗練……とはいかなくても、せめて痩せてスッとして見られるようにしようと思ったんだ」

「成功のために........。人付き合いもそうだし、いろいろと徹底したのね」

「自分のために必要だった」

「そこは、“ルイーズのために”と言ってくれた方がスマートなのに......」

「......間違えたな」


レウルスが頭をかいている。


「それで、どうやって痩せたの?甘いものをガマンした?」

「甘い物は控えたな。だが、デートの時くらいは食べるぞ」

「私も見習わなくちゃ」

「ルイーズは細いから問題ない」

「いいえ、健康的な食事は音楽家にとっても大事でしょう?」

「そうだな」

「それに、レウルスは痩せてもっとステキになったわ」

「褒められるのは嬉しい。だが、ルイーズは痩せたらダメだ」


手を握られる。この前のことを思い出して、顔が赤くなった。


「……私、レウルスと早く結婚したいわ」

「オレもだ。……だからこそ、音楽を頑張らなくちゃいけない。頑張るものじゃないかもしれないが、続けて成長していかねばといつも思っているよ」

「そうね」


レウルスも同じことを考えていた。


(レウルスも続けることが大切だと思っているのね)


「ところで、クリスティアンとマティアスは相変わらず仲が良いな」

「そうね。でも.........」


クリスティアンは実家から、早く結婚しろと、せっつかれているらしい。マティアスもマティアスで実家からお見合いの話を持って来られているようだ。


《僕は愛するマティアスと離れるつもりはない!》


と以前やりとりした手紙に書いてあった。


(人それぞれ悩みがあるものだわ........)


屋敷に戻ったら彼らを労わろうと思った。


が、屋敷に戻ると、クリスティアンとマティアス、クレメンテが盛り上がってセッションをしていたのだった。

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