第5話

いにしえより、蛇は金気に弱いと申す。人と大蛇のあいだに生まれた太郎もまた、草履に仕掛けられた毒針により脳を乱し、叫びとともに天を仰ぎ、その巨体は四方へと散って果てた。

 そののち、村人らは太郎を慕い、その身を祀ったという。頭は奈義町関本の三穂神社にて「こうべさま」として、右手は美作市右手の右手三社大明神に、腕と肩は智頭の河野神社に、胴は奈義町西原の杉神社に、そして足は高円の諾神社に。今もなお、地に宿りし神として伝えられておる。

この太郎、三歩太郎とも、三穂太郎とも呼ばれ、時の果てまでも人々の語り草となった。

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