『じーじのあからさまな通院』 第4話


 わたくしと病院は、切っても切れない間柄である。


 しかし、相対的に思いますに、むかしのお医者さまは、割にこわかった。


 それは、学校の先生もそうだった。


 何かの都合で、出先での病気や怪我はやっかいですが、そこは健康保険のおかげで、だいたいは、手当てが可能なわけだ。


 しかし、わたくしは、視力が良くないため、メガネが使えない状態では、相手の方のお顔も解らない。


 学生時代に、『松原湖』でスケート合宿があった。


 わたくしの母校は、当時(50年前!)、まだ、古い伝統を残していたのだ。


 まず、2年生までに、逆上がりができないと、どんなに他の学科の成績が良くても留年になる。これは、もう、仕方がないので、日曜日に、ひとり特訓をして、できるようにした。


 さらに、泳げないと、留年になるが、これには代替措置があり、夏か冬にスケートや水泳の合宿に参加すれば(逆だね。)、よほどのことがない限り、単位が取れる。でも、とにかく、水泳の授業に出る必要はあり、やらないと卒業できない。なわけで、ま、恥ずかしいというか、苦しい思い出があるわけだが、それは、秘密。


 しかし、さらにむかしは、泳げないひとは、海に連れてゆかれ、沖合いで投げ出されていたそうな。もちろん、ボートが付いていて、死なないようにはしていたような。すると、まず、間違いなく泳ぐそうだ。ほんとかな?


 しかし、さすがに、すでに、それはなくなっておりまして、助かった。


 卒業まえ、最後に英語の試験があり、ま、落ちてもおかしくはなかったのだけれど………


 それはともかく、そのスケート合宿で、見事に転びまして額を切り、病院に行った。眼鏡が割れてしまい、それ以降については、ひと様のお顔も、美しい景色も。なにも、わからない。なので、お医者さまのお顔も、最後まで、まったく不明であったわけ。


 津田沼駅近くの眼鏡やさんで、新しいのを作るまでは。


 『けんかしたの?』


 と、言われてしまったが、たしかに、氷さんとけんかしたわけだ。


 単位は無事に取れたわけです。


 まさに、怪我の功名である。


 


 

 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『じーじのあからさまな通院』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る