わたしの桃と禿げ頭
藤 野乃
わたしの桃と禿げ頭
うすあかり まぶたのうらに ゆれるもの
ぬくもりだけが この世のしるし
かばんには ふたりぶんある ラムネいろ
わたせないまま 放課後がすぎる
なにひとつ 予定もない日 となりには
ルージュをひいた わたしがいるよ
ふたりから なにかが芽吹いた 秋の夜 ひとごとみたいな 朝のくちづけ
泣きながら ねだって飼った その犬の
お世話をするのは このわたし
わかりたい わかられたくない 難い桃
わたしも来た道 ありがとう
いつもより 良い御茶出して おもてなし
わたしが知らぬ 桃の顔
禿げてきた あなたの頭を 笑いつつ
そっと目尻に クリーム塗った
禿げ頭 先にいくなと 言ったのに
ほんとにあなたは せっかちね
もみじの手 はにかみながら ひざに乗る おわりは巡る はじまりへ
わたしの桃と禿げ頭 藤 野乃 @fuji_nono
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