こちらはカクヨム短歌賞10首連作部門エントリー作品なのですが、詠まれた10首のどれもが、息苦しさ居づらさ生きにくさを詠んでいる感覚が、ずいずいと心に響くのです。
これは個人的な感覚なのかもしれませんが、短歌(そして俳句)も決められた音数のなかで、ナチュラルな言葉を紡いでいくのが、実はとても大変というか。あぁ、これは575のリズムに合わせたんだろうなぁ、って瞬間があって。
でも、この連作歌集にはそれを感じさせない。
どれも一息で吐き出したような。
それでいて、現代社会を生きる僕らが感じる「息のしにくさ」をこを容赦なく抉ってくるのに、音の感覚が素晴らしいから、ポップに聞こえる音感というか。
ナチュラルに詠まれた音だから、構えずに読んだら良いと思います。
息苦しさ居づらさ生きにくさを、一息、息継ぎ。そしてブレスをするような感覚で。つぎはぎじゃない言葉が、染みこむから。
水中で悶えるより、
顔を上げて、息継ぎをしたら。
きっと、明日はもう少しだけ、息つぎが上手に出来る気がする。この10首を読ん後、そんな気がしたのです。