「釣魚・注意喚起」
以下は、●●市■■湾付近の電柱・掲示板に大量に貼られていた注意喚起の紙の内容を書き写したもの。
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【拡散希望】
■■湾にて、以下の特徴を持つ魚が釣れた場合はご一報ください。
なお、この魚を以前捕まえた事がある・若しくは捕まえようとした事があるという方はその魚についての事をできるだけ早く全て忘れてください。
・鱗が無いように見える
・目が見当たらない
・鰭が小指の爪ほどしかない
・死んだように大人しい
・釣った覚えは無いがバケツに入っていた
・姿かたちを見ている内に何故か海へ身を委ねたくなってしまった
・その魚からは逃げられない気がする(海へ投げ捨てようとしても寸前で体が硬直する)
・目を瞑ると見覚えのない景色が見える(瓦礫に埋もれた花畑、虫が集っている猿の死骸、不自然に明るい廃墟など)
・母親がよく話してくれた昔話にその魚が登場していた気がする
・確かに語りかけてきている(自分しか知りえない事も含めて全てを理解しているかのように)
【最後に私から】
いつか必ずなんとかいたします。絶対に好きにはさせません。今はただ、忌避してください。私に任せてください。立ち向かわないでください。どうにかできると思わないでください。あなた達だけでも、あなた達のままであるように。
【魚胎・魚懐の可能性がある方も気兼ねなくご連絡ください】
《連絡先》…●●●-●●●-●●●●
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【備考】
貼り紙を掲示した人物の詳細は不明だが、地元住民数名が件の貼り紙の束を抱えた中年男性を目撃している。どの証言でも共通している事柄としては「身長は180cmほどで大柄」・「両手に数珠を付けていた」・「タバコを咥えていた」・「今さっき海から這い出てきたかのように全身ずぶ濡れで、服も砂まみれだった」等が挙げられる。
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