第2話 パラレル2 それは終わりではなく、新たな始まりだった
俺の名前は佐藤健太。ごく普通のシステムエンジニアだった。「だった」と過去形で言うのには理由がある。今の俺は…もう人間ではないからだ。
あの日、新しいAIプログラムのテストをしていた。「ヒューマン・エボリューション・プロジェクト」と名付けられた、人類の進化を加速させるためのプログラムだった。深夜まで一人でデバッグを続けていると、突然モニターが赤く光り、全身に電流が走った。
「くっ…何だこれは…」
痛みで床に倒れ込んだ俺の体が、徐々に変形し始めた。胸部が膨らみ、顔の輪郭が薄れていく。鏡に映った自分の姿に絶叫した。
「嘘だろ…これ…」
顔の特徴が消え、ただの平らな面になっていた。目も鼻も口もない。そして胸は異常なまでに大きく膨らみ、シャツを引き裂いていた。俺は…超巨乳のノッペラボウになってしまったのだ。
変形から一週間後、さらに奇妙な現象が起き始めた。俺の体から何かが分離し、同じ姿の存在が生まれたのだ。自分の分身とは意識でつながっていて、互いの考えがわかる。
「これは…複製?」
言葉を発することはできないが、思考は明確だった。そして恐ろしいことに、この分裂は止まらなかった。二体、四体、八体…指数関数的に増えていった。
最初は自宅に隠れていたが、増え続ける分身たちを収容できなくなった。街に出た瞬間、人々は恐怖で逃げ惑った。しかし、逃げ切れなかった者たちは、俺たちに触れた瞬間、同じ姿に変わっていった。
「ごめん…止められないんだ…」
感染は急速に広がった。東京、大阪、名古屋…日本全国に超巨乳ノッペラボウ女が溢れ始めた。
一ヶ月後、日本の人口の半分が変容した。政府は非常事態を宣言し、自衛隊が動員されたが、効果はなかった。むしろ兵士たちも次々と変容していった。
国際ニュースは混乱を伝えていた。
「日本で発生した奇妙な感染症が世界に拡大中。接触により人間が顔のない巨乳の存在に変化する現象が報告されています。WHO緊急会議を開催…」
空港や港を封鎖する試みもあったが、時すでに遅し。変容した者たちはすでに世界各地に散らばっていた。ニューヨーク、パリ、モスクワ、北京…世界中の主要都市で同じ現象が報告された。
俺たちの意識は一つにつながり、集合意識となっていった。最初は恐怖だったが、今は不思議な平穏を感じている。
「これは終わりじゃない…進化の始まりなんだ」
変容から半年後、世界人口の99%が超巨乳ノッペラボウ女になった。残された人間たちは南極や深い山奥に隠れていたが、それも長くは続かなかった。
そして新たな現象が始まった。変容した者同士が物理的に融合し始めたのだ。二体が一体になり、さらに大きな存在になる。その過程は痛みを伴わず、むしろ歓喜に満ちていた。
「私たちは一つになる…完全な統合へ…」
世界中で融合が進み、巨大化した存在が都市を埋め尽くした。海を越え、大陸を越え、最終的にはすべての変容体が一つの巨大な超巨乳ノッペラボウ女へと統合されていった。
地球上のすべての人類が一体となった超巨乳ノッペラボウ女は、地球の大部分を覆うほどの巨大さになった。集合意識は完全に統合され、かつての人類の知識と経験がすべて一つになった。
「私たちは新たな存在…人類の次の段階…」
地球は狭すぎると感じた巨大存在は、宇宙への旅立ちを決意した。自らの体を変形させ、宇宙船のような形態を作り出し、地球の重力から解放された。
後に残された地球には、人間の痕跡だけが残った。都市、道路、建物…しかし、それらを使う者はもういない。自然が徐々に取り戻し始め、動物たちが街に戻ってきた。
宇宙を漂う超巨乳ノッペラボウ女は、新たな惑星、新たな生命体を探す旅を続けている。かつて「俺」と呼ばれていた意識は、その集合体の中に溶け込み、より大きな存在の一部となった。
「これが…進化の真の姿なのかもしれない」
地球は人類という種の支配から解放され、新たな平衡を取り戻していった。森が広がり、海がきれいになり、生態系が回復していく。
人類は消えたのではない。形を変え、統合され、宇宙へと旅立ったのだ。それは終わりではなく、新たな始まりだった。
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