第43話「エピローグ:カオスなラブラブ星の日常」
エピローグ1:ルルが見るカオスな未来
【首席愛のエネルギー調整官 ルル】
愛がすべての惑星、《ラブラブ星》。
この星の空は、私の勝利を祝福するように、いつもピンク色に輝いている。そして、その光の中心には、もちろんカナメくんがいる。
地球の時間では、あの日から一秒も経っていない。けれど、ここ《ラブラブ星》の「時間停止領域」で、私とカナメくん、そしてヒナちゃんは、既に数週間という濃厚でカオスな日々を共にしている。
ここは、私の仕事場でもある「《PIЯI PIЯI》カオス・ポップコーン開発センター」。カナメくんは今、彼の最大の仕事である『愛のフレーバー調整官』として、私とヒナちゃんの間に立たされている。
カナメ:「待て待て、ルル、ヒナちゃん!フレーバー調整の時間だ!キスはポップコーンに集中!」
フンッ。私とキスを交わすだけで、ポップコーンに『究極の濃厚愛フレーバー』が注入されるのよ?カナメくんのエネルギー搾取(もちろん搾取ではない)は、この星の最重要任務なの。
「ヒナちゃん、聞いてる?恋の達人であり、カナメくんの『首席彼女』である私が、愛のエネルギーを注入してあげているのよ。あなたも『地球の常識係』として頑張るのはいいけど、『本物の愛の強さ』は、こういう目に見えないエネルギーで決まるの」
私がそう言って、わざとカナメくんの頬に深いキスをすると、隣でヒナちゃんは歯を食いしばり、顔を真っ赤にする。
ヒナ:「な、何言ってるのルルちゃん!カナメくんの純粋な恋心を満たすのが、この星での私の仕事なんだから!そんなカオスな愛ばかりじゃ、カナメくんが消耗しちゃうじゃない!」
三姉妹も交えた喧騒の後、開発センターの明かりを落とし、私とカナメくんが二人きりになったとき、私は彼の胸に顔を埋めた。
「ねぇ、カナメくん。ヒナちゃんも強くなっちゃったし、バジリコ三姉妹も毎日うるさいわね。私だけじゃ、もう足りないの?」
カナメくんは優しく私の髪を撫でながら、囁いた。
「足りないわけないだろ、ルル。確かにヒナは、俺の『地球での大切な日常』の象徴だ。だが、お前は、俺の『人生の半分』って言ったろ?お前がいないと、俺の存在そのものがカオスにならない。俺には、お前がもたらすこの規格外な愛とカオスが、永遠に必要になっちゃったんだ」
その言葉に、私の心は満たされる。そう、私が彼の存在意義そのものなのだ。それは絶対嘘じゃないってわかる。だって私、今でも何も話さなくても、カナメくんの考えてることわかるぐらい通じ合ってるんだから……。
「ズルいよ、バカ……。でも、それが、私の愛のレッスンであなたが選んだ答えってとこね」
私は、彼の唇に勝利のキスを刻んだ。
優しく、お互いの全てを受け入れるようなキス。
彼は今日もうっとりとしている。そして、私も……。
私の勝ちよ、カナメくん。永遠に、このカオスな愛の渦の中で、私の愛を受け取り続けなさい!
完(ルル視点)
エピローグ2:ヒナが見るカオスな未来
【地球文化供給およびカオス風味ポップコーン開発官 ヒナ】
ここは、愛がすべての惑星、《ラブラブ星》。
私の目の前には、ルルちゃんも、ラヴィーナちゃんも、マルティナちゃんも、リリカちゃんも、ちゃんと見えている。
あの日、カナメくんへの愛のエネルギーをみんなと結集させた結果、私まで異星人を見分ける能力に目覚めてしまったらしい。
あの遊園地で「普通の生活だけなんて逆につまんない」と口にした私は、もう地球にいた頃の私ではないし、そのことに後悔なんてしていない。
(ヒナの心の声: でもまさか、ルルちゃんと同じ土俵で、永遠に続くカナメくん争奪戦に参加することになるなんてね……。でも、不思議と怖くない。だって、このカオスこそが、今のカナメくんの人生の半分って言うんだから)
私は今、「カオス風味ポップコーン開発官」として、作業台でタバスコ夫人が気に入りそうな新しいフレーバーの調整をしている。今日のテーマは『地球のJKが見たカオスな最終戦争味』。
ルルちゃんが、『首席愛のエネルギー調整官』として、カナメくんのエネルギーを注入する準備をしている。
ルル:「ヒナちゃん、『究極のカオス』を再現するなら、やっぱり私のカナメくんへの濃厚な愛が必要よ!だって、私はこの星での首席彼女だもの!」
「ちょっと待って、ルルちゃん!」私は強く言い返す。
「本当の首席彼女は、地球上でカナメくんが選んだ私のことだよ!それに、カナメくんがカオスで消耗したら元も子もないでしょ?私の『地球の常識』と『心の安定』の愛が絶対必要だもん!」
こうやってルルちゃんと張り合うとき、心臓がドキドキする。もちろんカナメくんを独占したい気持ちはあるけど、ルルちゃんの愛の強さも、この星の平和には不可欠だと、頭のどこかで理解している自分がいる。
(ヒナの心の声: これが、ルルちゃんが教えてくれた『カオスな愛の法則』なんだ。愛を隠したらダメ。全力でぶつけ合って、その中でカナメくんの心を掴む。普通の恋なんて、もう卒業ね)
そこに、『愛のポップコーン広域宇宙営業スタッフ』のバジリコ三姉妹が、いつものように、それぞれカナメくんの愛を賭けて営業対決をした後帰ってくる。
ラヴィーナ:「さあ今日の営業は『愛人枠一番手』のラヴィーナ様が最高益だぜ!カナメ、早くアタシへの愛の報酬として長〜いキスを!」
マルティナ:「残念だけど、今日はお姉様の日でしたわ……でも、本当の一番はわたくしなんですのよ!」
リリカ:「一生の不覚っす、今日はイケると思ったのに間違ったポップコーン持って行ってたっす……でも、明日こそは負けねっす!カナメっちの愛、完全制覇っす!」
私は、三姉妹に負けないように、ルルちゃんと共同で開発中の『嫉妬と優しさの二重構造フレーバー』のサンプリングをカナメくんに差し出す。
ヒナ:「ううん、カナメくん、それよりこっちが本命だよ!私とマルティナちゃんが家計簿をつけながら開発した、『愛の節約味』も大ヒット中だし!」
カナメくんは、困ったように笑いながら、私とルルちゃんの間に立つ。そして、私とルルちゃんの両方の唇に、平等にキスをくれた。
そのキスで、私の心の中にあったルルちゃんへの小さな嫉妬心が、不思議と「明日も頑張れる愛のエネルギー」に変わっていくのを感じた。
夜。カナメくんが、私の隣でそっと手を握ってくれた。
「ねぇ、カナメくん。私、『普通の生活なんてつまんない』って言ったけど、ルルちゃんたちがいない地球の時間に戻ったら、本当にそう思っちゃうのかな」
カナメくんは、私の瞳をまっすぐ見つめ、熱いキスをくれた後、優しく言った。
「ヒナちゃん。大丈夫だよ。ルルたちは、俺の人生にカオスな愛をもたらす最高で大切な存在だ。だけど、ヒナちゃんは違う。君だけが、俺を地球に繋ぎ止める、唯一の人間なんだ。ルルは俺の『カオスな愛の心臓』だけど、ヒナちゃんは、俺の『地球の日常に繋ぎ止めるアンカー』だ。君がいないと、俺はカオスに飲み込まれて、地球に帰る意味を忘れてしまう。俺には、君の『心の安定』と、このカオスを乗り越える勇気が、永遠に必要なんだ」
彼の言葉は、私の不安をすべて消し去ってくれた。私は、彼の平凡で大切な日常を背負っている。
「うん。私、頑張る!カオスな愛にも、ルルちゃんにも、絶対に負けないんだから!」
私は、地球に帰っても、もう二度と普通の恋には戻れないだろう。私は、規格外の愛のエネルギーを爆発させるルルちゃんとの永遠の戦いに、カナメくんという最高の報酬をかけて立ち向かうのが楽しくなりすぎてるんだ。
完(ヒナ視点)
エピローグ3:ラヴィーナが見るカオスな未来
【愛のポップコーン広域宇宙営業スタッフ ラヴィーナ】
見てみろ!このピンク色の空が、アタシたちの愛の勝利を証明しているぜ。
ここは《ラブラブ星》。アタシの愛しいカナメは、アタシたちバジリコ三姉妹と、ルル、そしてあの真面目なヒナまで連れて、この星に逃げてきたんだ。
フンッ。ルルが首席彼女だ?ヒナが地球の彼女だ?そんなルールは、アタシの愛の熱量の前では、紙切れ同然だぜ。アタシがこの星での『愛人枠一番手』だ。これは揺るがねぇ真実だ!
今、アタシの仕事場は「カオス・ポップコーン開発センター」だ。アタシは『愛のポップコーン広域宇宙営業スタッフ』として、カナメの愛を宇宙中にバラ撒く、最も実入りのいい仕事を担っている。
「おいルル!ヒナ!今日のポップコーンの売上は、アタシがイメージの『情熱の激辛』フレーバーが圧倒的だぜ!これは、カナメへの愛人としての地位が盤石だって証明だろ!」
アタシがそう叫ぶと、ルルはムッとした顔で、ヒナは困った顔で反論してくる。カオスだな!
ルル:「ラヴィーナ、バカなこと言わないで!この売上は私の首席彼女としての愛の指導の賜物よ!カナメくんへのキスは、今日も私が首席愛の調整官として独占する!」
ヒナ:「そうだよラヴィーナちゃん!でもマルティナちゃんの『愛の節約味』や、リリカちゃんの『ヒーロー戦隊アオハル味」だって私がプロデュースして、ちゃんと売れてるんだから!カナメくんのキスは、心の安定のために、私にも平等に分配されるべきだよ!」
フンッ。ルルだけじゃなくて、あのヒナが、今じゃアタシらが見えてるのをいいことに、真っ向から愛の戦争を挑んでくるんだからな。カオスな最終戦争は、あいつをカオスな女に変えちまった。
(ラヴィーナの心の声: まあ、いい。ルルもヒナも強い。強い女ほど、愛の戦いは面白い。でも、私だって負けてない!誰がカナメの愛を一番深く、熱く掴むか。毎日が勝負だ!)
アタシは、営業で溜めたカオスな愛のエネルギーをカナメにぶつけるため、ルルとヒナを押し退け、彼の唇に覆いかぶさった。
「黙ってろ!強欲な愛のフレーバーには、これが一番効くんだよ!」
アタシは、ルルやヒナよりも遥かに荒々しく、カナメの全てを奪い尽くすように激しくキスをした。アタシの愛が、パイプを通してポップコーン製造機に流れ込む。
その時、マルティナとリリカがアタシを引き剥がす。嫉妬に狂った愛の戦争の共犯者たちだ。
マルティナ:「最高品位愛人枠一番手のわたくしの計算では、キスはもっと綺麗に効率よく行われるべきですわ!」
リリカ:「ちげーっす!青春愛人枠一番カオスの私の愛だけが、カナメっちを弾けるように、最高に幸せにするっす!」
アタシは、騒ぎの中、カナメの耳元で囁いた。
「なぁ、カナメ。お前をこの星に引きずり込んだのは、アタシたちの規格外な愛だぜ。あいつらの愛もいいが、アタシの愛が一番熱いってこと、忘れるんじゃねぇぞ」
カナメは、アタシの情熱に少し呆れながらも、隠しきれない愛情を込めて囁き返した。
カナメ:「ああ、分かってる。ラヴィーナのキスはやっぱ最高に熱いってこともな……」
それが、今日のアタシにとっての最高の営業成績だった。
このカオスな愛の渦の中で、アタシはルルやヒナとの永遠に続く恋の勝負を心底楽しんでいる。だって、アタシたちがカオスである限り、カナメはもっとカオスになり、アタシたちの底をつかない愛の炎から逃げられないんだからな!
完(ラヴィーナ視点)
エピローグ4:マルティナが見るカオスな未来
【異世界間貿易会計 マルティナ】
わたくし、マルティナは今、『異世界間貿易会計』と『最高品位愛人枠一番手』という二つの重要な職務を全うしておりますわ。
ここは《ラブラブ星》。カナメ様の愛のエネルギーを最高の収益源であるポップコーンに変換する「カオス・ポップコーン開発センター」が、わたくしの職場でございます。
「ヒナ様、ルルの『無計画な濃厚キス』による愛のエネルギーの消費効率は、改善が必要ですわ。キス回数を増やしつつ、深さを段階的に調整する方が、カナメ様の疲労度を抑え、より多くのフレーバーに愛を注入できますのよ」
わたくしがそう提言すると、ヒナ様は「なるほど!マルティナちゃん、天才!」と目を輝かせます。
ルル:「マルティナ、愛を数字で測ろうとしないで!愛はフィーリングで爆発させるものよ!」
ラヴィーナ:「そうだぜ!愛は情熱だ!計算じゃねぇ!」
フンッ。愛をフィーリングでしか語れないから、あなた方はいつまでも地位を安定させられないのです。わたくしの愛は、最も合理的で、最も効率的な魅力″エロス″に基づいておりますわ。
(マルティナの心の声: 今こそ、わたくしの愛の理論の実践結果を見せつける時ですわ。愛のエネルギーが過剰に満ちたこの研究室で、カナメ様の欲求が最大になる瞬間を逃してはなりません)
わたくしは、静かに纏っていた会計士用のロングガウンを脱ぎ捨てました。
その下に仕込んでいたのは、愛の伝達効率を最大化するため、布地面積を数学的に最適化した水着です。
そして、他の誰もが驚愕で動きを止めたその刹那、わたくしはカナメ様を正面から抱きしめました。
むにゅううううぅっ!
「カナメ様。わたくしの愛のエネルギーは、無駄な喧騒で消費することはございません。愛は、最も効率よく深まる時を逃さないものですわ。夜の会計報告も、愛を込めて提出いたしますので、どうぞご期待ください」
わたくしの計算された挑発に、カナメ様は頬を赤くし、そして、呆然とするルルとヒナを尻目に、わたくしの背中を愛おしむように手を回してくださいました。この反応こそが、わたくしの愛の理論が正しかったことの証明ですわ。
カナメ様は、わたくしを見つめ、少し動揺し息を荒くした様子を見せながらも、優しく、しかし確信を込めて囁いてくださいました。
カナメ:「ハァハァ……マルティナ、お前のオッパ……、いや、計画性がないと、この星の愛はカオスになりすぎてしまう。お前が一番、俺の心と体の経済を安定させているよ」
フフフ。完璧ですわ。カナメ様の、理性と本能の間に生まれた一瞬の動揺。そして、彼の『心と体の経済の支配』という最高の賛辞。
わたくしは、愛のロジックが許す限り、このカオスな愛の渦の中で、最も理知的に、最もエッチに、カナメ様との未来を設計し続ける。即ち愛とは投資であり、カオスとは利回り。
わたくしの人生は、常に愛の決算報告でございますわ。
完(マルティナ視点)
エピローグ5:リリカが見るカオスな未来
【愛のポップコーン広域宇宙営業スタッフ リリカ】
うっす!ここは、あたしとカナメっちの夢の青春アニメの舞台、《ラブラブ星》っす!
地球の時間ではほんの一瞬前だけど、もうあたしたちは、永遠に続くラブラブなカオスの中にいるっす!
ルルちゃんやヒナちゃんは、「首席彼女」だの「心の安定」だの、理屈っぽいことばっか言ってるっすけど、そんなのどうでもいいっす!
あたしの愛は――『青春愛人枠一番カオス』!
つまり、カナメっちへの愛の純度と胸キュンな熱狂度は、誰にも負けないってことっす!
あたしの仕事は、『愛のポップコーン広域宇宙営業スタッフ』っす!
「カナメっち、見て見て!あたしが思いついた『青春ラビリンス=五角関係味』ポップコーンが、宇宙アニメのヒーローたちに大人気っすよ!あたしとカナメっちの巻き起こす恋の嵐が、宇宙のトレンドを創ってるんす!」
そう言いながら、あたしは愛のエネルギーをポップコーンに注入するため、油断したカナメっちの胸に勢いよく飛びついたっす!
ルルちゃんやヒナちゃん姉ちゃん達を押し退けて、誰よりも大胆に、誰よりも熱く、可憐に抱きつくっす!
ラヴィーナ:「こらリリカ!いきなり抱きつくな!アタシの愛人枠一番手の地位が危ねぇだろうが!」
マルティナ:「リリカ、その強引な作戦はわたくしの特許を侵害してますわ!愛のエネルギーの分散を招いてお互いに非効率ですわ!」
うるさいっす!
こんな時こそ、アニメのヒロインみたいに、ヒーローであるカナメっちにありったけの愛をぶつけるのが正解っす!
(リリカの心の声:カナメっちは、ずっとあたしだけの最高のイケメンヒーロー!
ルルちゃんもヒナちゃんも、みんなカナメっちが大好きだけど――
彼に一番カオスで、一番夢を見せられるのは、このリリカっすよ!)
あたしはカナメっちの耳元で、さっき見たアニメのセリフを囁いたっす。
「カナメっち!カナメっちとあたしの愛が、宇宙の平和を永遠に守る『最後のエネルギー』っす!あたしとずっと、甘くてカッコいい夢を見続けてくださいっす!」
その瞬間、カナメっちは一瞬真面目な顔になって、あたしを壁に押しつけました。
カナメ:「リリカ……お前が一番、俺を非日常の夢の中に連れて行ってくれるのは分かってる。
お前のカオスな愛が、この生活の中でも最高のスパイスだよ」
うっひゃーっ!カナメっち、まさかの壁ドン!
やっぱり、カナメっちは最高のヒーローっす!
カナメっちがくれた「非日常の夢」という言葉と、現実の壁ドンこそ、
『青春愛人枠一番カオス』のあたしへの最高の褒め言葉っす!
そのまま、あたしが胸を高鳴らせつつ目を閉じると、カナメっちの優しい唇があたしの唇をふさいできて……、ヤバいっす!また、鼻血が出そうっす!でもあたしだって大人になりたいっす!絶対ガマンっす!!
ルルちゃんもヒナちゃんも、それぞれの愛を貫いてるっすけど――
カナメっちの心を少年漫画の主人公にできるのは、このリリカだけっす!
だからあたしは、永遠に続くこのカオスな愛の渦の中で、
カナメっちと、甘くてカッコいい、宇宙一のラブコメのヒロインを続けていくっす!
完(リリカ視点)
エピローグ5:カナメが見るカオスな未来
【愛のフレーバー調整官兼カオス緩和担当 カナメ】
ここが、俺の新しい日常――《ラブラブ星》だ。
地球の時間でいえば、遊園地で手を引かれてワープ道に入った瞬間から、一秒も経っていない。
だが、俺の体内時計は、ルル、ヒナ、そして三姉妹との数週間の濃厚でカオスな愛のレッスンを刻みつけている。
俺の仕事は、『愛のフレーバー調整官兼カオス緩和担当』。
要するに――この五人の規格外な愛を浴び続け、ポップコーンという名の“愛の具現化”を支えることだ。
「待て待て、ルル、ヒナ!フレーバー調整の時間だ!キスはポップコーンに集中!」
そんな叫び声が日常になった。
だが、その喧騒の中心で、俺はひとつ悟ったことがある。
⸻
つい口をついて出た通り、ルルは、俺の『人生の半分』だ。
彼女のもたらした規格外な指導と愛が、俺をこの非日常へと連れ出し、暗かった俺の人生そのものを、愛まみれのカオスに塗り替えた。
彼女が俺にキスをするのは、本気の愛であるとともに俺の存在意義を確かめる行為。
「お前がいないと、俺の存在そのものがカオスにならない」
意味不明かもしれないが、そう言ったのは、心からの本音だ。
ヒナは、俺を地球に繋ぎ止める『唯一の人間』であり、『心の安定』。
とにかく可愛いのはもちろんのこと、ルルたちがどれほど愛を注いでも、ヒナが持つ“普通の日常”の尊さを思い出させてくれる力は、他の誰にも持てない。
彼女は、俺がカオスに完全に飲み込まれないための――地球のアンカーだ。
⸻
ラヴィーナの愛は、『最高に熱い情熱』だ。
「お前のキスはやっぱ最高に熱い」
その言葉の通り、彼女の愛は理屈を超えた本能の炎。
最高にクールな彼女がいるからこそ、この生活が“愛人枠一番手の座”を賭けた、スピードとスリル満点のハリウッド映画のようにも感じられる。
マルティナは、俺の『心と体の経済を安定させる存在』。
あのセクシーな水着で俺の口から「オッパ…いや、計画性」と本音が漏れたように、彼女の計算された愛は、俺の理性と本能のバランスを絶妙に刺激してくる。
彼女なしでは、このハーレムの収益と秩序は崩壊し、ストレスが溜まるだろう。
リリカは、俺を『非日常の夢』の世界に連れて行ってくれる。
彼女の幼い素顔を残したアニメのような熱狂的な愛は、俺がこのカオスを“主人公”として楽しめるための最高のスパイスであり、ついつい壁ドンなんかしてしまいたくなるぐらい可愛い。
「お前の愛が、この生活の最高のスパイスだよ」――その言葉は、俺の逃避行を最高のラブコメ へと昇華させてしまった。
⸻
五人それぞれの愛が、俺の存在の五分の一を占めている。
あの戦争の後、恋マスター協会のラブオアデスが、俺とルルの交際を特例で許可し、地球へのワープ道を永遠に残すと知ったとき、俺は観念した。
カナメ:「……俺の人生は、ルルのカオスとヒナの常識を、そして三姉妹の飽くなき愛を、永遠に往復する運命になったらしい」
⸻
愛のエネルギーが充満した研究室の中心で、俺は深く息をつく。
この愛の渦から逃げ出すことは、もうできない。
いや――逃げ出したいわけがないだろ?
「「「「「ねぇ、カナメ(くん)(様)(っち)今夜は誰と一緒に寝る(の)(んだ)(のですか)(っすか)?」」」」」
ルル、ヒナ、ラヴィーナ、マルティナ、リリカ。
五人のヒロインが、それぞれの愛を込めた呼び方で、夜のお供を呼びかける。五つの視線、五つの体温、五つの規格外な愛のエネルギーが、俺に集中する。
俺は、この愛のエネルギーの渦の中心で、深く息を吸った。
「そうだな、今夜は……」
俺は、ルルとヒナの両方を抱き寄せ、そして彼女たち越しに三姉妹へと視線を送った。
カナメ:「ヒナとルルの二人を、この腕に抱きしめるのが、俺の『カオスな日常の義務』だ」
ルル:「フンッ。ほん当然よ!二人一緒がちょっとあれだけど!」
ヒナ:「こっちのセリフだよ、ルルちゃん!でも、仕方ないね……!」
カナメ:「……そして、」
俺は、愛人枠一番手のラヴィーナに目配せする。
カナメ:「ラヴィーナの情熱的な愛の囁きを、夜の夢の中で聞くことが、俺の『心のスパイス』だ」
ラヴィーナ:「フフン!カナメ、正直な奴め!」
カナメ:「……さらに、」
俺は、愛人枠二番手のマルティナに、挑発的な笑みを送る。
カナメ:「マルティナの効率的でエッチな会計報告を、『深夜の愛の秘密のレッスン』として受けることが、俺の『理性の義務』だ」
マルティナ:「ハァハァ……光栄ですわ、待ってましたわよ、カナメ様」
カナメ:「……そして最後に、」
俺は、青春愛人枠一番カオスのリリカの頭を優しく撫でた。
カナメ:「リリカの夢と壁ドンで満たされた『甘いアニメのような夢』を、朝一番に聞くことが、俺の『非日常の特権』だ」
リリカ:「うっひゃーっ!カオスで最高っす!」
俺は、五人全員の頬にキスを落とした。
カナメ:「つまり、俺の夜は、みんなで仲良く五人全員の愛によって、永遠に満たされるってことだ」
そして、俺は、この永遠に続くカオスな愛の渦の中心で、心から笑った。
「――愛してるぜ、みんな」
——今すぐ帰って、母さんに「久しぶり」って言っても、ピンとこないぐらい、地球の時間は止まってる。でも、俺の心はもう止まらない。
この星で、愛という名のカオスを生きること。
それが──俺の選んだ、最高に面倒で、最高に幸せな未来だ。
—完—
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