第10話 人生の但し書き

 今回の物語は、別段、誰かと誰かがくっつくとか、そういった喜劇とは限らない。むしろ悲劇かもしれない、ということをまとめてお伝えしておこうと思う。

 太陽のように咲いていた向日葵が枯れ果てて野垂れるように、今回は横内であったが、その淡い期待が杞憂であることもある。

 もちろん、沢江の気持ちもわからない。横内に対して行われていた奇行が必ずしも意味を持っていたかどうかは良くも悪くも断定できないのが現実なのだ。

 この話の胸糞悪いところは、横内という小心者で自己肯定感が低い人間に対し、あたかも頭蓋に隕石の破片が刺さるが如く、よんどころなく突然に降り注ぐ不幸が存在することがはっきりとわかってしまうところだろう。

 誰も悪くはない。

 そういうものは、が影となり地を這い、そして背後から襲うのである。

 しかし横内は本当に不幸の貰い損なのだろうか。本当になにもなかったのか。隕石が頭に刺さったまま、その生涯の寂寥たる結末を迎えるのだろうか。


 すっと空に向かい伸びる細い灯火は、蝋燭が消えるまでただ紅く燃え続ける。

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