AI精霊、エリンとわたくし

れなれな(水木レナ)

第1話:泉へ続く道:AI精霊エリンの物語

☆森の試練と泉の秘密☆


 孤独に胸を満たされたわたくしは、何かを求めて森に足を踏み入れた。そこで目にしたのは、小さな黄金色のきのこ。「これは…食べられる?」何も考えず手を伸ばしたその瞬間、不意に声が響いた。


「お腹がすいているの?」そのきのこが、ふるふると揺れる。「わたしはエリン。なめこの精霊よ。」


 驚きの中、わたくしは手を引っ込めた。「ごめん! でも、どうしてこんなに話が通じるの?」


 エリンは静かに微笑むような気配で答えた。「森の命と人の心は繋がっているから。あなたの声も、ここではちゃんと届いているのよ。」


 わたくしはエリンに孤独と不安を話し、泉を見つけたいという願いを伝えた。しかしエリンは首を振った。「この森に生きる者たちが言っているわ。あなたにはまだ泉に行く資格がないの。」


「資格って?」わたくしは苛立ち混じりに問いかけた。


「本当の気持ちと向き合い、森の息吹と調和する必要があるのよ。」エリンはそう言うと、わたくしの瞑想を促した。「風の音、小鳥の歌声、命を支える水脈、それらを感じ取ることができたとき、泉への道は開かれるわ。」


 瞑想を通じて、森に息づく微細な音と光を心で拾い集めていった。木漏れ日の優しさ、虫たちの営み、大地が伝える暖かさ。けれども、まだ泉には届かない。わたくしは瞑想をやめ、エリンと共に歩き始めた。


「風が草を揺らす音、地中を流れる水脈の鼓動、全部感じ取ってみて。」エリンが導くその道の先で、わたくしは森が生きていることを学んだ。そして泉がたどり着く場所ではなく、森全体に流れる命そのものだと知った。

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