蝉に群がる

うわ! またセミファイナル飛んできた〜! ほんとにやめてほしい、あれビビるよね笑

そうそう、蝉で思い出したんだけど……小学生のとき、クラスでいじめがあったんだよね。

蝉の、ちょっと怖い思い出。聞く?


いじめっ子たちが、蝉の死骸をAちゃんの下駄箱の中に入れてたの。

ほんと最低。……とか言いつつ、私も勇気が出なくて、先生にこっそり言うのが精一杯だったけど。


蝉って、生きてるのか死んでるのかわかんないじゃん?

そんな虫をわざわざ持ってきて、下駄箱に入れるとか……よくやるなって思ってた。


Aちゃんはというと、かなり参ってたみたい。

そりゃそうだよね。下駄箱を開けたら蝉の死骸が入ってて、たまに脚がピクピク動いてるんだよ。

想像するだけで無理だし、毎日そんなの続いたらそりゃ気が滅入るよ。


Aちゃんは、そのうち学校に来なくなっちゃった。

それで、標的をなくしたいじめっ子たちは、先生にこっぴどく叱られて、少しは反省したみたいだった。


……でもね、そこからなんだよ。不思議なことが起き始めたのは。


今度は、いじめっ子たちの下駄箱に、蟻に群がられた蝉の死骸が入ってるようになったの。


最初は、いじめを見てた誰かの仕返しかな?って思ったけど、誰も名乗り出なかったし、証拠もなかった。

まあ、正直「ざまあ」って思ったけど。私も性格悪いからさ。笑


……でもさ、蟻に食べられてる蝉って、普通はもう死んでるじゃん?


──それが、生きてるんだよね。

それで、下駄箱から突然飛び出してきて、体当たりしてくるんだって。


ゾワッとしたでしょ? 普通に怖すぎるよね。

私、蝉に体当たりされるのがこの世で一番嫌いなんだよ。笑


……ほら、ちょうどこんな感じ。

羽根はちぎれてて、脚はほとんど食べられてて、内臓が丸見え。

なのに、ジジジジって音立てて、生きてるみたいに動くの。


あ〜暑すぎ。こんなんじゃ、蝉でさえ生きていけないよねぇ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る