向日葵の下で

向日葵フェスティバル、めっちゃ楽しかったね〜!

暑かったけど!笑 特に、ウォーキングロード。あれは迫力あったね!


……ねえ、知ってた? あの道、昔は「迷路」って呼ばれてたんだよ。

ふふふ。ちょっと涼しくなろうか。


10年くらい前かな。まだあの向日葵畑があまり整備されてなかった頃。

あそこは地元の人しか知らない、ちょっとした“秘境”だったの。

道なんてなかったけど、夏になると向日葵の黄色い絨毯が一面に広がって、それはもう見事だったんだって。


でも……なんで“迷路”って呼ばれてたか、わかる?


そう、子どもがよく迷子になったから。

あの高さの向日葵だと、大人でもちょっと怖いくらいだけど、子ども目線じゃもう何も見えない。

どこまで行っても黄色と緑の壁だけ。音も吸われていくような、不思議な感覚になるんだって。


じゃあ、迷子になった子はどうなったと思う?


──向日葵に、食べられるの。

……って、笑わないでよ。ほんとなんだから。


向日葵の種のところって、たまに「顔」に見えること、ない?

無数の黒い粒が、目に見えたり、口に見えたりしてさ。


向日葵は、子どもを囲むんだって。

小さな子どもを囲んで、動けないようにして、ゆっくり、ゆっくり食べていくんだって。

土に溶けて、肥料になって、また新しい向日葵が育つ。

だから、あの畑の向日葵は、どこよりも立派に育つんだってさ。


今でも、たまに畑の中で、子どもの服とか靴が見つかることがあるらしいよ。

信じるか信じないかは……そう、あなた次第、だけどね。


あ、それはそれとして、来年も一緒に向日葵フェス行こうよ〜!

……やだ? こわかった?笑 ごめんって〜!

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