第4話 土下座で頼んでみた

俺は今、勇者アカツキの前で土下座をしていた。


「な、なんなんだ!?」

「この通りだ!」


流石にアカツキも混乱している様子で俺を見ている。

気づけば、千切れた腕もすっかり元通りだ。


「そもそも、俺は今日、魔王になったばかりなんだ!何も知らないのに殺すなんて理不尽すぎるだろ!」


俺はなんとか殺されないよう誘導する。


「き、貴様!意味がわからないことを言うな!」


どうやら通用しなかったらしい。アカツキは剣を俺に突き付けた。


「どんな事情であれ、お前が魔王なのには変わりない。お前さえ倒せれば、もう私の家族のようなことにならなくて済むんだ!」


どうやらアカツキは過去に魔族関係で何か強い恨みが出来たらしい。だが、それで何も知らない俺が殺されるのはあまりにも理不尽すぎる。

ああ。終わった。次また別のものになれるのなら、チンアナゴがいいな。

すると、その時、


「アカツキ!すまない!こっちはもう限界だ!」


遠くから男の声が聞こえてきた。多分ゴッデスのメンバーなのだろう。


「くっ!仕方ない。今日のところは引いておく。だが次会ったら必ず!」


そう言って、アカツキは魔王城を出るのだった。

俺は唖然としていた。それもそうだ。魔王になったかと思ったら、殺されかけたんだしな。

周りを見る。そこにはザキの死体。俺の力で生き返らせることはできないのだろうか。


「ザキ、すまない。」


俺がザキの死体に近づこうとした時、


「お見事でした。魔王様。」


天井からザキが現れた。


「!ザキ、お前殺されたんじゃ。」

「糸でダミーを作っておいたんです。」

「一体いつから?」

「ふふ、内緒です。」


いや、凄すぎだろ!俺の周りの奴らがヤバいのか、それとも俺が弱すぎるのか。もう訳がわからん。

するとザキが俺に寄ってきた。


「魔王様。その、よかったら魔力を分けていただけないでしょうか。さっきの戦闘で使い果たしてしまいましたので。」

「ああ。やり方を教えてくれるのなら。」


するとザキは自らの唇に指を差しこう言った。


「ではここに唇を。」









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