第3話 勇者アカツキ

ここ魔王城では緊張感が漂っていた。


「また貴方ですか。」


ザキがそう言うと、女騎士が答えた。


「ああそうだ。私は勇者アカツキ。Sランクパーティー『ゴッデス』のリーダーであり、この『聖剣クロスカリバー』に選ばれしものだ。」


アカツキと名乗った女騎士は俺に殺意を向けている。

正直やばい。鑑定スキルで見たがまだLV50なのにザキと同格かそれ以上だ。しかも何やら明らかにチートそうな剣も持っている。


アカツキLV50 勇者


HP200

攻撃250

魔法50

防御200

スピード200

MP65


「さあ、魔王。この手でお前を消してやる!」

「魔王様には指一歩近づけさせません。『スパイダートラップ』。」


ザキは蜘蛛の糸を部屋中に張り巡らせた。

俺は興味本位でその糸に触ってみると、

スパ

俺の指が音も無く切断された。


「ギャアアアああああ!」


しかし、すぐに新しい指が形成された。どうやら『オートヒール』が発動したらしい。

となると、攻撃魔法以外なら俺でも効果があるようだ。良かった。て言っても最弱な魔王には変わりないか。

そんな馬鹿みたいなことをしているうちに、ザキとアカツキの戦いが増していた。


「邪魔だなこれ。ふん!」


アカツキは剣を大きく振り上げると、その衝撃でさっき張った糸がすべて切れた。

は?その剣チートすぎだろ!

すると、アカツキは剣を投げる体勢になった。


「喰らえ!『ファイナルソード』!」


そう叫び、投げた剣は的外れな場所に飛んでいったかと思うと、空中で角度を変え加速した。

ファ?!

完全に物理法則を無視した剣は次々に角度を変え速度を上げていく。

もう俺が目視できない速度になった時、ザキが剣に貫かれた。


「ザキーーーーー!」


俺が叫んだのも束の間、剣が俺の右腕を吹き飛ばし、そのまま壁に突き刺さった。


「うわーーーー!!!」

「クソ!外した。」


アカツキは悔しがっていたが、俺はもう戦意喪失していた。

異世界に来て一瞬で終わるのか?

俺は考えた。ここから生きる方法、最弱の俺が生かして貰える方法を。

そして、行動した


「すみませんでしたーーーー!!」


俺は盛大に土下座をした。








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