第15話

陽菜の告白は、私たちをさらなる絶望へと突き落とした。この部屋は、後悔を喰らうことでその力を増していく。陽菜は、悠真の兄を憎むあまり、自らの後悔を部屋に喰らわせていたのだ。悠真は、そんな陽菜の姿を、悲痛な表情で見つめていた。


「どうして……どうして、そんなことを…!」


悠真の問いかけに、陽菜は、まるで別人のように冷たく言い放った。


「兄さんが、私を裏切ったからよ…!私は、この部屋の呪いを、みんなに分けてやっただけ…!」


陽菜の言葉に、私は震えた。彼女は、もはや恐怖に打ちひしがれているのではなく、憎しみに心を支配されていた。


「違う…!そんなこと、兄さんが望んでいたわけがない…!」


悠真は、陽菜にそう叫ぶが、陽菜は聞く耳を持たない。その時、部屋の壁から、無数の血肉が、私たちに襲いかかってきた。私たちは、悲鳴を上げながら、その場から逃げ出した。しかし、どこへ逃げても、血肉は私たちを追いかけてくる。


私たちは、絶望に打ちひしがれ、部屋の隅に隠れた。その時、悠真が、私に言った。


「りお、僕を信じてくれ」


悠真は、そう言って、陽菜に近づいていった。


「陽菜、兄さんは…君を裏切ったわけじゃない…!」


悠真の言葉に、陽菜は、狂ったように笑い始めた。


「嘘よ…!悠真くんは、何も知らない…!」


悠真は、陽菜に、一枚の写真を差し出した。それは、悠真の兄が、陽菜と楽しそうに笑っている写真だった。


「兄さんは、君と、もう一度笑い合いたかったんだ。だから…君に、この部屋の呪いを終わらせる方法を伝えようとしたんだ…!」


悠真は、兄が残した手記から、ある事実を突き止めていた。兄は、裏切り者の友人をこの部屋に誘い込んだのではなく、彼を救うために、この部屋の呪いを終わらせる方法を探していたのだ。しかし、兄は、その方法を見つけることができず、この部屋に閉じ込められてしまった。


悠真の言葉に、陽菜の表情が、一変する。彼女の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。


「嘘よ…嘘だと言って…!」


陽菜は、そう言って、その場にへたり込んだ。彼女は、兄を憎むあまり、自らを呪いに縛り付けていたことに気づいたのだ。


その時、部屋が、再び揺らぎ始めた。壁の血肉は、まるで生きているかのように、私たちに襲いかかってくる。


「悠真くん、早く…!」


私が叫ぶと、悠真は、陽菜の手を掴み、私たちと一緒に走り出した。私たちは、絶望と恐怖に打ちひしがれながらも、この部屋から脱出することを決意した。

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