辞書を引く

軽井める

辞書を引く

犠牲者の牲という字が生きていてわたしに生きていてもいいか問う

爪先をお花模様で飾るときそこだけとてもきれいな棺

交差点付近に夥しい数の意味と名前のない花と水

満月の後の台風人間は六十パーセントが水だって

辞書を引く重い体は東京都最低賃金以下の引鉄

欠けている視点を持ったエリートが発した言葉の数については

皇紀二千六百八十五年この世も血も滲む様なプロンプト

人類の進歩と調和ミサイルも停戦合意もブッパしていく

希望とか絶望とかを口にする度に狭まっていく可動域

跪く膝の形の土である新東京の八月である

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

辞書を引く 軽井める @karumeru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画