第12話 CIAは優秀
その翌日、青森新聞の地方記事に『40代と思われる男性、自殺未遂か』と40代の男が十和田湖で自殺。しかし釣りに来ていた男性に救助された。
小さな記事だが、内調も情報本部も見逃さない。
さっそく調査員を派遣。弘前駐屯地までヘリコプターで飛んだ、情報本部の調査員がいち早く青森中央病院に入院している男を確保した。男は佐々部だった。
一週間後、元気を取り戻した佐々部を情報本部まで移送し、取り調べを始めた。佐々部は驚くほど素直に自供をした。なぜならば、佐々部は自殺では無く殺されかけたからである。管喜朗は官房長官時代の内調のOBを使って佐々部を殺害すれば、今回はすべて完結と考えたらしい。しかし佐々部が生き残ってしまった。
湊から事の顛末を聞いた田尾と紀子は、以前に湊が予想したとおりの結末に少しは驚いた。しかし次の展開をどうしたら良いかの方が気になった。
現状
矢部は亡くなっている。
管は実質の殺人犯だが、田尾が矢部になっているため起訴できない。
矢部を演じる田尾は末期のがんを患っている設定。
紀子は田尾と夫婦を演じている。
佐々部は、防衛省の情報本部の管理下にある。
事の顛末を知っているのは田尾、湊、紀子、管、佐々部、防衛省の情報本部の数名。
情報本部からは絶対に機密は漏れない。田尾、紀子、湊からも漏れない。
まず、佐々部は今後一生情報本部の管理下で生活をさせる。管内閣は支持率が19%と末期の症状で、党内からも退陣要請が出ているので、今回の件を湊が伝えると早々に退陣し衆議院選挙になるに違いない。殺人を黙る変わりに政治家を引退。以後は佐々部と同じく、一生情報本部の管理下で生活させる。に落ち着いた。
それよりも湊が気になったのは、田尾と紀子がまるで長年の夫婦のように見え、二人とも充実感が溢れる表情をしていることである。
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