第11話 解かれていくパズル

佐々部は間違いなく住菱商事に勤務していた。

「真田局長、佐々部が三日前から出社していません」

「佐々部と内調との関係があったのか。内調から我々の動きを聞いて身を隠したか」

「まずいですね」

「とにかく、佐々部を確保しよう」

「は、了解」


「佐々部の部下に接触することができました。佐々部は1年半ほど前に一度子会社に出向していました。1年後に住菱商事に復帰をしています」「調査したところ、その子会社での勤務実態はありません」

真田は佐々部の生い立ちからの調査を開始した。

出身は宮城県。小中高と宮城で過ごし、大学は東都大学。そして住菱商事とエリートコースを歩んでいる。

大学時代に管喜朗衆議院議員事務所で2年間アルバイトをしている。

その後も、就職するまで事務所の手伝いをしていたらしい。

「矢部総理襲撃事件当時、管は官房長官。繋がったぞ」


湊防衛大臣にこれまでの経過を報告する。

「管と佐々部はいまだに交流があり、佐々部が偶々矢部総理にそっくりな男が四国の山奥にいる事を管に話した。そこで以前より首相になりたかった管は矢部が急遽いなくなれば、無派閥の自分でも総理になれる。そして今回の絵をかいた」

「おそらく、管の伝手で出向した佐々部は、内調のアジトを拠点として手下を集めた。狙撃犯は両親の宗教的な恨みを持つ斎藤を陰から煽って犯行に及ばせ、単独犯とすることに成功。そして後は田尾の登場というわけか」

「はい、憶測だけで証拠はありませんが」

「結果を見れば、間違いないだろう。引き続き調査をたのむ」




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