第10話 CIAの調査が始まる

よし一度、田尾が住んでいた町に行ってみよう。真田は部下の村上とともに四国へ向かった。

「真田局長、見事に何もないところですね」

「そうだな、日本にもまだこんなところがあったんだな」

そして、田尾の住んでいた家を見つけた。ちょうどその時、移動販売車がテーマソングを鳴らしながら坂を上って来た。近くの公民館跡に停車すると3~4人の老人たちが買い物に集まって来た。販売人は老人たちにこの1週間の出来事を面白おかしく聞いている。ふと二人を見つけた販売人は

怪訝そうな顔で

「何方にお出でで」「私は移動販売会社の人間で、町から防犯の業務を委託されています。名前は大西と申します」

名前を名乗られれば答えない訳にはいけない。

「私は真田、彼は村上といいます。田尾さんを訪ねてまいりました」

「ありゃあ、田尾さんけ。1年くらい前から姿が見えんけん、どこぞに行ったんでないで」

80歳くらいのおばあさんが言う。

「それでお二人は、どのような用件で田尾さんを」

「大西さん、ちょとこちらへ」自衛隊情報本部の肩書は出せないので、いつもの捜査時に使う四芝重工の名刺を使い「以前に田尾さんの経営していた会社との取引がありまして、6年前の取引の件で少し確認事項がありまして」

大西が「真田局長、移動販売車にカメラが付いています」と突然指摘をした。

「あれは、私の担当地区での不審者や不審車両を撮影するための車載カメラです」と大西。

「撮影後はどうされるのですか」

「過去2年間の映像は会社で保管しています」

真田は佐々木が田尾を知った訳がわかった。

「ほう言うたら、1年前くらい前にも田尾さんをたんねて男の人が来とったなぁ」と老婆。

「あれは、うちの販売会社の親会社の住菱商事の佐々部情報管理部課長ですよ。私の担当地域の人口や年齢層の実態調査に来られていましたから」

「ぼくが案内し、2日間ほどこの地域にいましたから」

70代の男が「そうそう、家にも来たわ」

60代の女も「家にも来て、色々着て聞いて帰ったでよ」

「実態調査は度々あるのですか」

「5年に1度くらい行われます」

「では、私達の姿も2年間大西さんの会社で保管されるのですね」

「そうですね」

真田と村上は顔を見合わせたが、仕方がないと諦めた。

その夜、真田と村上は昼間の聞き込みのまとめをした。

「内調の佐々木は住菱商事の佐々部情報管理部課長かもしれないですね」

「そうだな、子会社の実態調査中に移動販売車の車載カメラで田尾を見て、矢部首相に似ていると思った」そして矢部が狙撃された日、田尾を連れに来て矢部とすり替えた

「で、目的は?佐々部と内調の関係は?」

「そこが、全くわかりません」

「住菱商事の佐々部情報管理部課長をマークしてみるか」

「はい、わかりました」




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