第5話 プロローグ…5

「オジサンのじゃあないんだ…」

「そうだねぇ」

 アキは、ガッカリしたような、ホッとしたような…

複雑な気分だ。

玄関先を見たものの、他には何もなく、もちろん人影もない。

「何なんだろうなぁ~」

 イタズラ?

ケイタの行方の手がかりになるか…と思っていたのだが、結局はわからずじまいだ。


「ふーん、リンネ?」

 先ほどからショータが、興味津々で、例の飾りを触っている。

「これって、もしかして…山伏が持っていたものかも」

 へぇ~こんな風に、なっているんだ…

珍しそうに、散々触った後で、アキに返す。

「やまぶし?」

「え~っ?」

 なんだ、それ?

あまりなじみのない言葉に、アキとユウジが声を上げる。

「ほらぁ~修行僧とか?

 あ~っ、托鉢のお坊さん、見たことがあるでしょ?」

カガリが二人に向かって言うと、

「あぁ~前に駅前で見た?」

ようやく納得したようだった。

「え~っ、でも、杖って、持ってたっけ?」

「さぁ、どうだったかなぁ」

 こんなにハッキリと、印象に残っているのに、案外細かなことは、

見えてはいないものだ。

何で、こんな所に?と、不思議に思ったはずなのに…

そこまで深く気にしてはいなかったのかもしれない。

「だったら、持ち主さんが、困っているんじゃない?」

アキがショータに向かって言う。

「さぁ、どうだろうねぇ」

ショータはさして、気にしてはいないようだ。

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