連作短歌「買い物あるある」

智月 千恵実

買い物あるある

売れ残るプチトマトらの憂い顔

かごの片隅色あせてゆく


パインの黄メロンの緑迷いつつ

手を伸ばすのは真紅のスイカ


茹でたての枝豆食べる楽しみは

カップ麺待つ3分に勝る


ジャム求め出かけたはずが虚しくも

忘却の闇にジャムのみ沈む


駅ナカの六時の報せに人あふれ

狙いしパンは遠くで手招く


庭の枇杷はたわわに実りもぎ放題

売値の高さに驚くばかり


日に一つみかん氷菓が愛しくて

減りゆく棚に我の足あと


食パンよ来る日も来ぬ日も運命の

ゼロかダブルか妹との賭け


おうちめし続けていたらいつの間に

し弁当屋あとかたもなし


夏の日は甘さ際立つ麦茶なのに

その味薄れ秋を知る頃


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連作短歌「買い物あるある」 智月 千恵実 @chiemi_tomozuki

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