第2話

 おにぎりを包んでいたビニールをロボットに渡す。

 温水からそれを受け取り、ロボットは他のゴミを求めて再びさまよってゆく。



2 離婚届け

 

 夕方。帰宅することにした。豆腐の移動販売トラックとすれ違う。

 まだローンの残っている自宅。妻の趣味の西洋風な建築。

「ただいまあ」

 犬の鳴き声。

 電気をつける。玄関の靴を見た。

「あれ?」

 奥さんの靴がある、出かけている様子はなかった。なぜ電気がついていないのだろうか。そう思っていると、ゴールデンレトリバーのモモが出迎えに玄関にきてくれた。尻尾をふっている。

 モモをなでる。

 そのまま進んで、暗いリビングの電気をつけた。

「うわ!」

 奥さんが机に座っていた。無表情だった。

「電気つけないでなにしてるの!?」

 奥さんの清恵は口を開いた。

「ねえ」

「なに」

 清恵は机にある離婚届けを黙ったまま押し出す。

 温水はそれを見つめる。              

沈黙。

 奥さんに目を戻す。

「なんで?」

「わかるでしょ?」

 沈黙。二人は見つめ合う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る