第8話 エルドラドの瞳
「って帳さん!?どうしたんですかその眼…」
ギルドに来るなりそう言われる。眼?...もしかして…。
唯利さんが手鏡を渡してくれる。
「ってなんじゃこりゃ!?」
その眼はいつもの見慣れた黒眼では無かった。金色に変な模様の入った眼がそこには映っていた。
「それはこっちのセリフですよ!?」
「そ、そういえば昨日言ってた黄金ダンジョンの隠しフロア、クリアしちゃいました」
「うぇ!?お、おめでとうございます?ってこっち来てください!」
ここで話すのは得策ではないと考えたのかギルドにある個室に招かれた。
「隠しフロアを見つけたまでは良いです…でも攻略しちゃったんですか!?一人で!?」
「まあギミック系のダンジョンでしたね」
ダンジョンにはボスモンスターを倒してクリアする物やギミックをクリアすることで踏破と見なされるダンジョンがある。こんかいの隠しフロアもその一つだっただけだ。
「そ、それでどうしましょう…報告すればランキングも大幅に上昇するかもしれません」
隠しフロアの発見。それに踏破だ。確実にランキングも上がる。レベルだって200以上もある。
ただ…俺は隠しフロアを見つけたいだけ…変にスカウトととかされるようになれば面倒くさい事この上ない。
「いや、報告は止めておきます」
龍王の素材何て知られたらとんでもないことになる。それはもう目に見えている。
それにガン爺に恩を返す予定もある。これからも世話になる予定だ。
「分かりました。…にしても帳さんその眼はどうにかした方が良いかもしれませんね」
そうだよな…どうしよう。両目となれば眼帯を付ける事も出来ない。カラーコンタクトを付けるしかないか?
「ちょっと待っててください。カラーコンタクトがあった気がします…」
そう言って部屋から出て行ってしまった。
「あの老いぼれめ…最後にデカい物置いて行きやがったな」
にしてもエルドラドの瞳ね…。封印を解けば進化するみたいな事があるのだろうか。
「お待たせしました。これ、良ければ使ってください」
「ありがとうございます。あと色々報告が…」
それからはあの隠しフロアで起こった事、称号の事などを唯利さんに伝えた。
初めの方は驚愕と言った表情だったが、途中からは目をキラキラ輝かせて聞いていた。
「凄い羨ましいですね…エルドラドの瞳ですか…それと七王…こっちでも出来るだけ調べておきます」
「ありがとうございます。それと…この光輝の欠片とこの果実を買い取りオークションに出したいんですけど…大丈夫そうですかね」
多分この光輝の欠片と光輝なる果実ならば買い取って貰っても大丈夫だろう。
「そうですね…未発見素材なので高値になると思いますよ!」
うわぁ…楽しみだな。シーカーになってからあまり稼げていなかったからな…まあ生きていく分には稼げているから十分ではあったんだけど。
「じゃあ後は唯利さんに任せても大丈夫ですかね、ちょっと鍛冶屋に行ってきます!」
てな訳でガン爺の元へと早足で行くのだった。
。
「ガン爺!!居るかガン爺!」
「だから俺はまだ三十代だ!!んでなんだ坊主」
「良い素材が手に入ったから武器と防具を作って欲しいんだ!!」
「なんだ坊主この前打った鍵はどうしたんだ?」
「あれは隠しフロアに必要だっただけだよ。その隠しフロアで色々素材が手に入ってさ」
ガン爺は信頼できる。そもそも鍛冶師は良い物を作れればなんだって良い人も多い。多分だが隠しフロアとかも誰にも言わないだろう。
「隠しフロアか…うむ、俺の出来る事ならば何でもしてやろう」
本当に最高だぜガン爺!!
こっれならば龍王の素材を出してもよさげだな…。
「なんだが…ちょっと素材が特殊と言うかなんというか」
「ああ、他言はしない。俺は最高の素材で最高の武具を打てればそれで十分だ」
最高だなガン爺!!
「これとか…どうかな?」
おもむろに光輝なる袋から素材を出す。
「むっ!?これは!?」
隠しフロアでゲットした数々の素材を見て唸る。
そうだよな…。
「実はまだあるんだ」
本命の龍王の素材を取り出す。これはレア度が表示されていなかったが…多分俺の鑑定のレベルが低いからだろう。もしかしたらガン爺なら分かるかも知れない。
「むむっ!!こ、これは…坊主とんでもない物を持ってきやがったな」
「どうだ?ガン爺でも無理そうか?」
「うぅむ。今持ってる鍛冶道具じゃ無理だな。これで装備を打つならばそれ相応の道具が必要だ」
「その道具はどうすれば良い?素材なら俺が集めるよ」
レベルも上がった。多分だが、最高位のダンジョンでもない限り死ぬことは無いだろう。
「あぁ…そうだな。必要な素材は”火山”の結晶が欲しい所だな」
それはつまり…”火山”と呼ばれるダンジョンに行けって事だな。
”火山”は高難易度ダンジョンの一つ。日本で最も有名であろうダンジョンの一つだ。
勿論それは初めて確認された称号付きモンスターすなわちユニークモンスターである”火山”グランドトータスが居たからだ。その圧倒的な強さと、それに見合う報酬により瞬く間に全世界に広まった。
「”火山”の結晶はダンジョンで採掘できる。それとダンジョンにある”種火”を持ってきてほしい」
「了解。て言っても九州だもんな、ちょっと時間かかるけど…」
「その間俺は俺で必要なモノを集めておく、気を付けろよ坊主」
なるほどね。初めて高難易度のダンジョンに挑むな…ちょっとワクワクしてきた。
「あ!ガン爺!この欠片で剣に属性とか付与できないかな?」
光輝の欠片の説明に魔力を内包するとあった。もしかしたら魔法や属性を付与できると考えたが…難しいだろうか。
「なに!?光輝の欠片…確かに出来そうだ…それにしてもこの量…一体どれだけ光輝スライムとやらを狩ったんだ」
いやぁ無限に湧いてくるからな…もう途中から覚えてないな。百匹はゆうに超えたけど。
「取り敢えず”火山”だからなぁ水属性とか付けれたら楽かも」
「ちょっと待っとけ、その武器も置いていけ」
どうやって属性を付けるのかは知らないが…俺より鑑定のレベルが高いガン爺なら大丈夫なんだろう。
「あいよー!!じゃあまた明日来るよ!」
装備を置いてからガン爺の工房を後にする。
。
「ふぅ...取り敢えず家に戻って来たのは良いが…何をしようか」
あまり使ってない家。基本的にダンジョンに潜っているので寝に帰ってくる位だ。
クソ狭い格安のアパート。でも世話になった。金の稼げない初心者の内はこういう格安のアパートを借りる人が多い。
「取り敢えずスキルの確認がしたいな」
エルドラドの瞳…気になってしょうが無い。それに自分の見た目まで変化するスキルは珍しい気がする。困るけどな…まるで俺が中二病を患っているみたいじゃないか。
「取り敢えず…魔力を籠めるか」
眼に神経を集中させ魔力を込めてみる。眼に魔力を籠めるなんて初めてだが…上手く行くか?
「集中集中」
………………………………。来た!
「なっ!?なんだこれ!?」
目に写る物すべての情報が頭に流れ込んでくる。
ー-----------------------------------
机・・・木材の寄せ集めで作られた机。小鳥遊帳が長く愛用している。グレードE
ー-----------------------------------
グレード…なんだそれは。
ー-----------------------------------
グレード・・・アイテムなどの品質を現す。鍛冶などにより上昇させることが可能
ー-----------------------------------
ふむ…。レア度だけでは無いんだな。しかしグレードか…漠然とそう言うものがあるとは思っていたが…可視化されるとありがたいな。
と言うより知りたい事教えてくれるのか。眼に魔力を込めた分色々な事が知れるのかもな。
凄い…こんなとんでもないスキルを俺が持っているなんて…夢みたいだ。
「ぐっ…なんだ?」
突然の頭痛。意識を失うほどでは無いが、無視できるものでは無かった。
封印されている事に関係しているのか…はたまた代償なのか。
取り敢えず重要な時以外は使わない方が良さそうだ…。
「眠たくなってきたな」
ここ数日は黄金郷の攻略で疲労が溜まっている。明日にでも九州に行きたいからな…長めに休んでおくか…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます