Day4

トラック5:放課後の教室で好き♡

 //SE ガラガラと教室の扉が開く音


 //SE 扉が閉まる音


「やぁやぁ。そろそろ死ぬ少年くん。ようこそ」


 //SE 主人公が教室の床を歩く音


「ここ、座って」


 //SE 主人公が椅子を引く音


「ふふっ。机をくっつけて顔合わせ、なんて小学校ぶりかもね」


「席が隣になったりグループになったりする以前に、クラスが違うもんね。今だってそう」


「ん? あぁ、なんで呼び出したのか、ね」


「私の教室に来いって言ったら本当に来る……君はいつも正直で素直だよね」


「でも、これから何されるかは分かってない。ふふっ、3日前とは逆だ」


(ぐいっと主人公に近づき、耳元で)

「……ねぇ、君どうやったら落とせるの? 教えてよ……」


「むぅ、『好きって100回言えば』って、それも前と同じこと言ってる。しかもそれは死ぬんじゃん」


「あと何回で死ぬの?」


「ふ~ん。そっかぁ……あと40回……じゃあ、今日中に全部言ってあげるっ」


 //SE 椅子が動く音

 //SE 瑠奈が歩く音(主人公の右側に来る)


好き61っ。好き62好き63好き64っ。好き65好き66で大好き67っ」


(決めつけるような言い方で)

「愛情は足りてるよね。もう足りないなんか言わせないよ?」


(かわい子ぶるように)

好ーき68っ♡」


 //SE 主人公の後ろを通って右側に回り込む足音


 //演技依頼 少し強めに右耳に息を吹きかける


(嬉しそうに)

「ゾクゾク——って、したね。ふふっ。その可愛い顔、何度見ても見飽きないよっ」


「ん~? 私の態度が気になる? それはね——」


(耳元に口を近づける)

「私が君を信用してるから、だよ」


好き69♡」


「早く私に惚れちゃえ♡ 好き70っ、好き71っ、好き72!」


 //演技依頼 艶っぽい呼吸を数回繰り返す


(気を取り直すように)

「——ねぇ。なんで私が君の死に執着してるか、興味ない?」


「ふふ、やっぱり。色々知りたそうな顔してるもん」


(左耳に)

「でもぉ、ダーメ♡」


(からかうように)

「あははっ。なんてね、冗談だよ」


(照れ隠しにツンツンしながら)

「……ちょっと、からかってみたかっただけ。それ以外にこんな冗談言う理由、ないから」


「そんで、肝心の理由について、だよね。いいよ。そろそろ話してあげる」


「ちょうど、放課後の、ふたりきりの教室——ぴったりのシチュエーションだと思うし」


(怒ったフリをしながら)

「そして、これはある意味で言えば降伏宣言。本当はずっと隠しておきたかったの。それを言わせたのは、紛れもなく君のせいなんだからっ」


「まず、私は君をライバルだと思ってたの。共に切磋琢磨できる幼馴染。最初はそうだった。いつもテストの点数で勝負してたし、たまに私が勝つこともあった」


(次第に暗くなる)

「でも、中学から次第に差は開いていった。気づけば、完全に上下が確定していた。私の順位に1が輝くことはなくなった。それこそ、君のせい」


(俯きながら)

「それがどうしても許せなかった。子どもっぽいプライドの戦いなんだと思うけど、それでも無理なものは無理だった」//顔を上げる


「だから、君のあとを追いかけることにしたの。同じ高校を選んだ理由はそれだよ」


「幸運だったのは、君が上のコースに行かなかったこと。同じコースなら、同じ土俵で戦える。リベンジの機会も、あるかもしれないって思った」


(遠くを見ながら)

「そうしているうちに、だんだんと嫉妬が嫌悪になった。だから嫌いって、死ねって言うようになったんだ」


「これは、別に、懺悔とかじゃないよ……ただの過去回想。思い出話」


「でも、ここからだよ。全てが変わるのは」


「君は、私に変な冗談を持ちかけてきた。『好きって100回言われたら死ぬ』とかいう、意味不明なジョーク」


「私は信じてたよ。今まで嘘を吐いたことないの、知ってたから」


(おどけるように)

「えへへ。でも、さすがに気づいちゃった。君にとって、初めての嘘だったんだよね」


「そんな君の冗談に付き合ってたら、私は、本当に——」


「——うん、そう……って、決め台詞取らないでよ! もう! バカバカ! 好き73!!」


「っ、そうだよ! 私は君のことが好き74!」


 「頭が良いとこも好き75。ちょっぴり不器用なとこも好き76。癒やしてくれるその声も好き77。見飽きないその顔も好き78。正直なとこも好き。全部全部好き79っ!」


「はぁ……はぁ……」


「たぶん、だけど、私は君のことがずっと好きだった。感情は嘘をつかないけど、自分に嘘をつくことは出来るから、それで隠してたんだよ。たぶんね」


「……好き80だよ」


「どんな君も、私は好き81なの。ライバルでも、親友でも、幼馴染でも。どんな関係性のときだって、私は君が好き82好き83なんだよ」


(自嘲的に)

「あははっ……なんか、負けた気分。自分で降伏宣言って言っておいて今更だとは思うけど」


 //SE 主人公を抱きしめる衣擦れの音


「私の温度、感じられる? 心臓の鼓動は?」


「好きって言うたび、体温が上がっていくの。好きって言うたび、鼓動が早くなるの」


好き84


「……感じた?」


「正直に言えば、今すぐ死んじゃいそうなくらい恥ずかしい。このまま逃げ出してしまいたい」


「でも、私は私自身を、君という鎖で縛ってる。だから逃げられない。もう、逃げたりしない」//抱擁がより強くなる


「ぎゅーっ♡」


「もう我慢しないよ? 今までの分、全部が今になってやって来てるの」


好ーき88


「んね、あと何回?」


「ほほぉ、12回かぁ……」


「てか、ずっと数えてるのすごいよね。よくよく考えれば、それって私との会話を真剣に聞いてくれているってことだもんね」


「ありがとっ。大好き89


 //SE SNSの通知音


「……ん、せっかく良い雰囲気だったのに」


「ね。見せてよそれ。やましいことがないなら見せられるよね?」


「どれどれ——」


「誰、このイオって子。まさか女の子?」


「『この前はありがとう……』って、どういうこと? まさかデートとかじゃ——!?」


「君を好きなのは私だけでいいのっ! 私だけのもの! 好き90っ!」


(ヤンデレ風に)

「足りない……まだ足りない……」


好き91好き92好き93!」


「それとも、言葉だけじゃダメ……?」


「ふふっ、顔赤くなってる。何想像したのぉ?」


「あぁ、やっぱりその顔大好き94。たまんないよぉ……♡」


(以下右耳に)

好き95っ♡」


好き96だよ♡」


好ーき97♡」


(以下左耳に)

好き98です♡」


好き99なの♡」


「——大好き100♡」


(恥じらいながら)

「っ……こ、これで何回?」


「……おーい? どうした?」


「あれ、まさか——死んでる、の?」


「ぐったりしてるし……えっ、嘘……」


「こ、こういうときどうすればいいんだっけ——」


(以下錯乱した様子で)

「——キス……とか?」


「お伽噺だと、それで王子様がお姫様を救ったりするけど……」


「そもそも好きを100回で死ぬってのもお伽噺みたいなファンタジーなんだし、可能性はある。いや間違いない!」


「い、行くよ……?」


 //演技依頼 キス


「ちゅっ……」


「……!」//驚きに息を呑む


「——まさか、本当に目覚めるなんて……」


「お、おはよう。調子はどう?」


「元気なら、良かった……」


「そ、その、寝起きで悪いんだけどさ。一つ、聞いてほしいことがあるの……」


「私と——付き合ってくれませんか?」


「——!!!」//喜びに打ち震える声


「ほ、ほんと……!?」


「夢じゃ、ない、よね……!」


「良かったぁ……! やっとだよ……!」


「じゃあ、これから——いや、ずーっとよろしくね!」


 =====

 ハッピーエンド!!!!!!


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【完結】幼馴染のツンデレ美少女が、俺に「好き」を100回囁くまで~放課後、ふたりきりの、癒やしの時間~ ねくしあ@新作準備中 @Xenosx2

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