第2話 とある公務員試験の出題から考える
若者が未来を自由に描き、実現できる社会について論じよというのがあった気がするのでこれについて書いてみる。
若者が未来を自由に描くとはどういうことかをまず考える必要があるだろう。価値判断をまず問われるかもしれない。
未来を描くとはなにか?世界はどのようなものか認識してそれに対して価値判断をしどのような存在なのか解釈するということなのかもしれない。ここに必要なのは直感、情緒と知識だろう。それに加えてそれぞれの制約条件がある。
ニューロダイバーシティによって世界に対する見方は多様であろうが、言葉を使うという点は共通している。そういう認知的な基盤のもと未来という概念を構想するのだ。
それぞれの知的好奇心に依存しているのかもしれない。世界が自己の精神の投影である場合その傾向が強いだろう。世界は自己から独立し、関与する対象として見るのならその限りではないかもしれない。世界の未来と自己の未来を独立したものと見るのか、連結したものと見るのか。そもそも未来という時系列は存在しないのではないか?という疑問。
それらの問題意識から未来を自由に描くというのを考えると、様々な展開が可能だろう。主体として世界を見るのか、システムの一部として世界を見るのか、世界と自分は不可分なものとして見るのか。
では未来を自由に描き実現できる社会とはなにか?そういう様々な認識と行動制約、認知的制約、経済的制約など様々な制約が組み合わさったものになるだろう。
例えば経済的制約として可処分所得がある。自己の所得が税金や社会保険料を取り除いたものだが、制度が影響する。制度の変遷によって左右される。これは行動様式のみならず、心理的にも影響を与えるものである。
可処分所得の源泉はなにか?産業と個人のスキルセットである。両者が有効的に組み合わさることによって生じる。産業の成長は単独では起こらない。多くの場合様々な知見、発明、経験知の蓄積、フロンティアスピリッツ、成長を邪魔しない制度などが組み合わさった結果として起こる。蒸気機関はそもそも石炭採掘で揚水機の必要から様々な試行錯誤が生まれ、資金調達や信用制度がそれを支えた結果として生まれたものである。このように有機的な連結の結果として存在しているのだ。
人間の認知的な制約とはなんだろうか?まずあげられるのは経験知と知識である。その基盤は家庭であり、教育のためのプラットフォームである。これらをもとに人は様々なものを獲得し、新たな知を創造する。こういうものの結果として世界認識がある。
これらをもとに行政がしたほうがいい、しないほうがいいものを考えると、まず教育の基盤を機能させることである。教育は単に学校に通うことではない。それぞれが見識を養う機会である。そのためにはそれぞれの認知特性に合わせた個別最適化された工程や提案が必要だろう。共通の秩序は必要だと思われるかもしれないが結局それぞれの適正によって分化していくのだからあまりそこは重要視する必要がないかもしれない。知識を共有するというプロセスもそれぞれの状況に適合した形でそれぞれの環境でやればいいのであって一つの場所に集合させる必要はない。
モデルケースでいうと基本引きこもって自分の興味のある分野を伸ばし、時々誰かと対話したり共同作業をするというイメージだ。
これらを基本とし税や雇用についての制度を考えていく。税はまず無駄にとらず個人の可処分所得を削らないということを基本とする。そのために行政の役割をスリム化する必要がある。県の場合はインフラの整備と教育の環境構築以外は基本的に縮小することとする。雇用について責任を持つ必要がなくそれぞれの判断を尊重する。行政が介入するということは基本的にしない。
そのように行政は未来の社会を担う存在に対してはインフラを提供し、そうでない部分は介入しないということを基本方針とする。
しかしセイフティーネットは構築しなくてはいけない。それによって挑戦し失敗したものを支える必要がある。例えば負の所得税のように自動的にビルドインスタビライザーの機能をするようなものや、ベーシックインカムのように給付をするもの、地域限定の通貨を運用することで再分配の仕組みを作ることなどがある。それらを通して未来を構想し挑戦する者の安心を作り出す必要がある。
以上がざっと考えた軸。
結論として、若者の制約条件を少しずつ解消しその行動を縮退させるようなものを排除し、それぞれの自己実現ができる環境の構築、それを支える社会ということになるだろう。
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