第7話 マッスル老害フェスティバル1日目 ①

 「「……」」


 次の日、グレイス、ナユカはブーメランパンツをはだけさせながら、ひたすら筋トレをして、空白部屋の前で無言で待っていた。


「……」


 グレイスは時計を確認するとマッスル老害フェスティバル開始まで残り1時間を切っていた。


 グレイス、ナユカは瑠璃菜か空白部屋に入った後、ログアウトして次の日になって朝、再びログインした。


 グレイス、ナユカは空白部屋を見るとドアは閉じたままだった。


 ちなみに空白部屋とは、超人老害伝説ではゲーム中1度だけしか使えない修行部屋である。


 1度しか使えない為、成長速度を大きく上げる場所ではある。


 但し部屋の中は何もなく、回りの景色は真っ白な空間である。


「あんな真っ白な空間内にいたら、おかしくならないのかね」


 ナユカは阿瀬を拭き取りながら言う。


「ごくごく、朝から待ってログイン、ログアウトして、出たり入ったりしているが出てくる気配ないな」


 グレイスはプロテインドリンクを飲みながら空間部屋のドアを見る。


 空間部屋に入るだけで、時間の流れが変わるのか人によっては精神的に耐えられなくなり数秒足らずで出て来る。


「そして、一番厄介なのは重力や悪い状態異常がつくことだね」


 空白部屋は時間経過するごとに重さが増して行く。


「空白部屋に入って約20時間以上……。ミカゲ、瑠璃菜は大丈夫なのか?」


 グレイスは心配そうな表情を見せて、ベッドでゴロゴロしているミカゲに言う。


『大丈夫じゃない場合は、部屋が消えてます』


 ミカゲは無表情で言う。


 プレイヤーが力尽きた場合は空白部屋は消える仕様である。


「ミカゲ、瑠璃菜ちゃんは生きてるよね?」

『生命反応は正常だから大丈夫です』


 ミカゲは無表情で答える。


『それに何かあったらチャットやメッセージに書き込むはずですので問題ないです』


 ミカゲは優しい笑みを浮かべて言う。


「それなら良かった」


 ナユカはほっとした表情を見せる。


『さて、ナユカ様、マッスル老害フェスティバル1日目は何をするか知ってますかね?』


 ミカゲは無表情でナユカに聞く。


「知らんし、大元の本社さんから一切通知や連絡が来てないからな」


 ナユカは不機嫌そうに言う。


『……1日目はWHO in RTAです』

「?」


 ナユカはハテナマークを浮かべる。


「WHO in RTAって何をするんだ?」


 グレイスはミカゲに聞く。


『正式名称はWHO惑星破壊おじさんinによるRTAリアルタイムアタック です』


 ミカゲがナユカに説明をする。


「正式名称、聞いても内容がわからないんだけど」


 ナユカは首をかしげた様子を見せる。


『余は皆でWHO惑星破壊おじさんの称号目指して頑張ろうということです』


 ミカゲは無表情で説明をする。


「……」


 ナユカは無言で考え始める。



『競技名は[星を破壊しろ!]です。過去のゲームで[ワールドオーダー]にいた10人の老害という人たちの1人のWHOのやらかし、という名の栄光にちなんで黒歴史を繰り返さないために作られた競技です』

 

「「ああ、」」


 2人は思い出した。


 WHO惑星破壊おじさん、ワールドオーダーにおける厄災的存在である。


 とある動画で[WHO消滅!]というタイトルがあり見ていたが度肝を抜かれた。


『ちなみにルールはWHOの形をした星を30分以内にどれだけ破壊出来るかです』


 ミカゲは気にせずに説明をする。


「……なるほどね」


 ナユカは渋い表情を浮かべる。


『……ナユカ様にはぶっちゃけたお話をしますが』


 ミカゲは渋い表情になり、ナユカを見る。


「?」


 ナユカはミカゲの表情に困惑した様子を見せる。













『マッスル老害フェスティバルは出来レースであり、勝つ予定のゲームメーカーは決まってるんですよ』


「!?」


 ミカゲは残酷真実をナユカに伝えた。

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初心者が3日後にサ終予定のゲームをプレイしました。その後、サービス継続になり、他のゲームメーカーが壊滅しました。 牧村和樹(グレイレッド) @gurei0507

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