第1話の冒頭、ベッドの上で正座しながらゲームのインストール完了を待つ主人公・あゆなの描写が最高だ。
「無表情」「引きこもり」というキャラクター設定を聞くと、無感情でクールな最強キャラを想像しがちだが、この作品はまったく違う。内面のモノローグは、受験に勝利してゲーム三昧の冬休みを心待ちにするごく普通の女の子そのもので、そのギャップが非常に愛おしい。
兄との何気ない掛け合いも秀逸で、無表情なのに兄がなぜか心を読んでくれるという関係性の描き方が自然だ。「デリバリーは金と時間の無駄」と言われて即納得するあゆなのモノローグも笑えるし、「枕は投げたけれど」という表現のさりげなさが好きだ。
世界観設定も丁寧で、VRMMOのインストールやデバイスの描写がリアリティを持ちつつ、ゲームへの期待感が高まっていく流れが上手い。
無表情系主人公の「中の人は普通の女の子」というテーマを、説明ではなく内面描写で自然に示す構成力が光る一作だ。