第6話 不可能を可能にします。


「……」


 瑠璃菜はミカゲの解答を聞いて落ち込んだ様子なく頷いた。


「瑠璃菜ちゃん、ミカゲが言ったんだから、諦めがついたでしょ」


「……[限段階ということは、私の行動次第で不可能を可能にすることは出来るということだよね?]」


 瑠璃菜は真剣な表情でミカゲに音声チャットで聞く。


『わからないです』


 ミカゲは無表情で答える。


「……[方法を教えて]」


 瑠璃菜は真剣な表情でミカゲの瞳を見る。


『空白部屋で修行すればあなたのやり方次第では行ける可能性はあります』


 ミカゲは無表情で瑠璃菜に伝える。

 

「具体的に何をすれば良いの?」


 瑠璃菜はワクワクした様子でミカゲに聞く。


『……』

「?」


 瑠璃菜のチャット内に何をするか、決め細やかに送られて来た。


『明日までに間に合わせるのであれば、その内容が出来れば可能性は出ます』


 ミカゲは真剣な表情で言う。


「……」


 瑠璃菜はふむふむと頷く。


『……ですので止めたほうが良いと思います』


 ミカゲは無表情で控えめな声で瑠璃菜に言う。


「……」


 瑠璃菜は考える仕草を見せて突然、ログアウトしていなくなった。


「ふう、流石に諦めがついたかな」

「諦めただろうな」


 寂しげな様子で、ブーメランパンツの男と女性は言う。


「さあて、ゴールデンウィークはゆっくりと休もうかね」


 女性は腕を上に伸ばし始める。


「ふん! ふん!! うむ、そうするか」


 ブーメランパンツ男はスクワットをしながら女性と話をする。


『……グレイス様、ナユカ様、業務をサボらないで下さい』


 ミカゲは無表情でブーメランパンツの男、グレイス、ブーメランパンツの女、ナユカと言う。


「流石に誰も来ないから大丈夫だよ」


 ナユカは寂しげな様子でミカゲに言う。


「ふん! ふん!! まあ、業務という名の筋トレをするだけさ」


 グレイスはスクワットをしながら話をする。


『……グレイス様、ナユカ様、残念なお知らせがありますがよろしいでしょうか?』


 ミカゲは口元を緩めてグレイス、ナユカを見る。


「ふん! ふん!! なんだ?」


 グレイスはスクワットをしながら渋い表情でミカゲを見る。


『瑠璃菜様はもうすぐ戻って来ます』


 ミカゲは無表情でグレイスに言う。


「戻ってくる!?」


 グレイスは驚いた表情をしてスクワットを止める。


「ふん、ふん、根拠もないことを言う何て、ミカゲちゃんらしくないね」


 ナユカもスクワットしながら話しに入り始める。


『根拠はあります』

「?」


 ミカゲの言葉にナユカもスクワットを止めた。


『瑠璃菜様は考える仕草をし始めました』


 ミカゲは真剣な表情でナユカに言う。


「考えたということは、出来ないことを悟っただけでしょ」


 ミカゲは難しい表情で言う。


『……来ます』

「「?」」


 [ログインしました] とチャット内に表示された瞬間に瑠璃菜は現れた。


「……[お待たせ!]」


 瑠璃菜は元気な表情を見せて現れる。


『瑠璃菜様、何をしていたんですか?』


 ミカゲは無表情で瑠璃菜に聞く。


「……[]」


 瑠璃菜は迷いのない表情で言う。


『それでは、今から空白部屋に入るということですかね?』


 ミカゲは瑠璃菜の蒼い瞳を見始める。


「……[うん、今から入るよ!]」


 瑠璃菜は楽しげな表情で音声チャットを使ってミカゲに伝える。


『……わかりました』


 ミカゲは無表情で答えた。


「……[それじゃあ、行って来ます]」


 瑠璃菜は元気な様子で空白の部屋に入って行った。


「「……」」


 グレイス、ナユカは瑠璃菜が楽しげに入って行くのを見て無言、無表情で立ちすくんでいた。


「空白部屋って、修行出来る場所で1度しか使えないところだよな?」


 グレイスは真剣な様子でミカゲに聞く。


『……はい、そうです』


 ミカゲは控えめな様子で答える。


「どうせ、すぐに出て来るでしょ」

 

 ナユカはめんどくさい様子で言う。













『……』


 ミカゲは無言、無表情ながら冷や汗をかいていた。


 ゲームメーカー様、運営様、ミカゲは怪物を生み出す、きっかけを作ったかも知れません。


 グレイス様、ミカゲ様、もしかしたら、これからデスマーチ級に仕事が増える可能性があるのでよろしくお願いします。



 そして、次の日になり、マッスル老害フェスティバルが始まろうとしていた。

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